大学ジャーナルジュニア

2027年度「神戸野田中学校」開校

神戸野田高等学校 中学校開設準備室 室長・脇坂昇先生

2027年度「神戸野田中学校」開校
『非認知能力の育成』を重視し、自己肯定感や挑戦力、コミュニケーション能力の向上を図る

神戸野田高等学校の校舎
神戸野田高等学校 中学校開設準備室 室長・脇坂昇先生

脇坂 昇先生

~Profile~

神戸野田高等学校 中学校開設準備室 室長。2027年度に再開する神戸野田中学校の開設準備に携わり、中高一貫6年間の教育プログラムづくりを進める。

今年創立100周年を迎えた「神戸野田高等学校」。今春の入試でも2,600名を超える志願者(兵庫県下で3位、神戸市では1位の志願者数)があった同校が、2027年度に中学校を開校(正確には再開)します。2011年に女子の受け入れを開始、そして来年101年目の新たな歴史は、神戸野田中学校・高等学校としてスタートします。

本格的な少子化の時代にあって、なぜ中学校を開校するのか、どんな学校を創ろうとしているのかを、中学校開設準備室室長・脇坂昇先生に伺ってきました。

教育理念の実践のためには6年間が必要

神戸野田高等学校は受験生が多く進学実績も良好ですが、高校3年間という期間の短さが教育目標達成の障害となっている現状があるのも事実です。高校3年間では、根本の教育目標の達成が困難であるため、中高一貫6年間の教育をめざし、中学校開校、正確には57年ぶりの再開に踏み切ることになりました。

中学校の教育プログラムは、確かな学びと生きる力の育成を柱とし、グローバル教育や探究型学習を重視しています。確かな学びでは「授業」、「放課後学習」、「家庭学習」の三位一体で学力向上を図り、個別対応のフォローアップ体制を整えています。

生きる力の育成では、金曜日を丸一日使った【体験重視型の探究学習】を導入し、段階的にテーマを設定しながら実践的な学びを推進していきます。グローバル教育は中学から高校まで一貫して国際感覚の育成をめざし、ネイティブ教員の活用や海外留学制度を設けています。

『非認知能力の育成』を重視し、自己肯定感や挑戦力、コミュニケーション能力の向上を図っていきます。探究学習は生徒自身が興味を持つテーマを見つけ、長期的に深めていくことが重要であり、教員の指導方法の変革も求められています。そこで既存の学校教育の枠組みを超えた独自性のある教育をめざし、教員の意識改革と熱意が成功の鍵と心得、生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、豊かな成長を支える場となることが我々の課題であると考えています。

平成23年に特進コースの男女共学に踏み切り、共学校になりました。本校の建学の精神は「質実剛健にして進取の気性をもて」ですが、これは共学化した現在でも変わりません。常に「生徒を学びの主体に据え」、生徒一人ひとりの人格を大切にし、豊かな心と時代を生きる力を身につけた青年の育成をめざすための中学校再開であることを、あらためてお伝えしたいです。

非認知能力とは?

テストの点数やIQ(知能指数)のように数値化できない、個人の内面や人間性に関わる能力の総称です。意欲、忍耐力、協調性、自己肯定感などが含まれ、人生の豊かさや将来の成功を大きく左右する力とされています。

中学校での特色あるプログラム

中学校開校にあたっては、進学実績と非認知能力育成の両立をめざし、個別最適化された教育プログラムを構築する必要がありました。地域の他校の状況や教育改革の事例等も研究し、本校独自の教育の方向性と課題を多角的に議論し、来年度からの新体制を迎える準備を進めました。

まず、中学校の教育プログラムは「確かな学び」と「生きる力の育成」を二本柱とし、グローバル教育と探究型学習を組み込むこと。次に、放課後の学びとして個別対応のフォローアップ体制を整備し、成績上位者と下位者双方に対応することが確定しました。さらに、探究学習においては、金曜日を丸一日使った体験重視型学習を導入し、校外での体験活動を積極的に行っていきます。

グローバル教育の点では、中学2年次からグローバル講座を開始し、ネイティブ教員による指導を取り入れていきます。現行の高校グローバルコースの内容を中学校にも展開し、国際感覚の育成を一貫して行います。

家庭学習の定着を図るためにAI学習支援ツールを導入し、家庭と学校の連携を強化し、個別最適化の一翼を担っていきます。

未来的ツール等の併用に伴って、教員の授業スタイルの変革も促し、授業の上手い下手にとらわれず生徒の興味を引き出す指導を推進することで、授業の在り方や、生徒の授業への取り組み方にも好影響をもたらすことと考えています。

非認知能力の育成に尽力

大学合格実績の向上はあらためて掲げる目標ではなく、新しい中高一貫教育の結果としてふさわしい実績を残すことが使命だと考えています。これからは「進学実績」自体の価値観も変化していくでしょうから、いつの時代にも誇れる実績を出すことが重要です。だからこそ、非認知能力の育成を重視し、自己肯定感や挑戦力、コミュニケーション能力の向上を教育目標に組み込みました。本校らしい「進学実績の向上」と非認知能力育成の両立をめざし、個別最適化された教育プログラムで学ぶ本校の6年間に期待してください。

中学校での教育プログラムは、「未来フロンティアコース」として確かな学力の育成とこれからの時代を生きる力の育成を両立させ、グローバル教育や探究型学習を柱に豊かな心の育成をめざします。単一コースの「未来フロンティアコース」は、高校進学時にも同コースとして進学し、高校の他コースと混ざることはありません。

中学校におけるグローバル教育と体験重視型探究学習の展開は、他校に類を見ない高質な内容になるでしょう。中学2年生から高校のグローバル英語コースの国際感覚育成プログラムを導入し、ネイティブ教員による指導も計画しています。金曜日の1日を体験重視型の探究学習に充て、中1から中3まで段階的にテーマを設定し、事前・事後学習と発表を組み合わせたサイクルで実施します。中学1年は命と食、中学2年は社会の仕組み、中学3年はグローバル視点で未来を考える体験学習を行い、修学旅行では持続可能な航空燃料などのグローバル課題も学ぶ予定になっています。独自のアスラボプログラムにグローバル要素を多く取り入れ、中学校から高校への移行期にも国際感覚育成を継続し、ネイティブ教員との連携を図りながら授業に反映させていきます。

非認知能力の重要性を再三言っていますが、挑戦や失敗からの立ち直り、人との協働力を育成する教育方針が中学校の基本になっています。日本の子どもたちの自己肯定感の低さや将来への夢の欠如という課題を指摘し、英語を武器として活用する教育も行い、海外文化体験やSDGs、AI活用を含む生きた英語教育の拡充をめざしています。

神戸野田高等学校 図書館内のフリースペース
▲図書館内のフリースペース

探究学習の本質に迫る

問いを立て答えを見つける教育を重視し、中学まではミッション型学習、高校では知識の統合を進めるというビジョンを持っており、真の探究学習と体験重視の教育プログラムの必要性を強く感じています。

中学3年間のプログラムでは外部からの刺激を多く取り入れ、実際に体験し感じてもらいます。平日を活用した体験プログラムの実施や、子どもたちの多様な感じ方を尊重する教育を進めるなかで、生徒一人ひとりが真剣に探究活動ができるように学校としてサポートしていきます。その一面も含めて、教師陣の熱意が成功の鍵であると信じています。

現在多くの学校で行われている実績重視の進路指導が、子どもたちの興味や体験を阻害している問題を考えると、独自性を重視し、既存の教育システムに追従しない新しい教育スタイルが必要です。探究学習においても、興味を持つテーマを自ら見つけることが重要であり、学校がテーマを強制することは探究の本質を損なうリスクもあります。教育者が生徒の興味を引き出すためには、より自由な授業スタイルが求められるという意見もあります。学校自身がさまざまな課題を克服していくチャレンジャーでもあると考えています。

固定化した観念や新しいものを生み出さないプログラム、AIの進化によって転換する価値観など、教育の現場においてもさまざまな面で変化が生まれ、変化することを求められるようになります。しかし、学校における学習の本質や教育の理念は、容易く変化するものではないはずです。

その点だけは頑固に、しかしながら生徒たちが進学の選択肢を広げるための個別最適化されたプログラムとはいかなるものかを常に問い続ける新しい中学校、中高一貫校をつくっていきますので、よろしくお願いいたします。

学校情報

神戸野田高等学校

1926年8月に神戸市旧野田村の共有財産をもって財団法人「神戸野田奨学会」を設立し、同年9月に神戸野田高等女学校を開校。そして戦後の学制改革を経て1948年に新制神戸野田高等学校に、1968年に学校法人「神戸野田学園」に改称。設立当初から「質実剛健にして進取の気性を持て」の建学精神のもと、常に時代の変化に対応し、時代の先を見つめた新しい教育づくりを追求。2011年には大学特進コースの男女共学化に踏み切り、2016年には全コースの男女共学化を完成し、新たな発展を遂げている。これまでに3万名を超える卒業生を輩出し、教育、文化、芸術、スポーツなどの各界で活躍し、社会に大きな足跡を残している。2026年には創立100周年を迎え、2027年には休校していた中学部を57年ぶりに再開する。

〒653-0052 神戸市長田区海運町6-1-7 TEL 078-731-8015

お問い合わせ

発行所:くらむぽん出版
〒531-0071 大阪市北区中津1-14-2