日本初の公民学連携eスポーツチーム「INSOMNIA」が3/29, 3/30に開催されたPokémon UNITE Asia Champions League 2025にて優勝を果たし、アジア1位となりました。
2025年度からeスポーツ教育を加速するiU(情報経営イノベーション専門職大学)
「2025年には、総観客動員数が1,000万人超えに!」——これはサッカーではなく、近年伸長著しいeスポーツについての予測【グラフ1】。コロナ禍や情報端末の普及で急成長したeスポーツ、2026年にはアジア大会、2027年にはオリンピック委員会の認める世界大会がサウジアラビアで開催される。こうした盛り上がりの中で、eスポーツを大学の正課に取り入れる大学も現れた。5年前、《起業する大学》を目指して《ICT×ビジネス×グローバル》をキャッチフレーズに開学、昨年、大学発ベンチャー起業率で一位、増加率2年連続一位となったiUだ。関連市場を含めた国内の市場規模は200億円に迫るとも言われ【グラフ2】、広いすそ野を持つeスポーツ【グラフ3】を起業の一つの柱と位置付ける。同大で、eスポーツプロジェクトを担うのは実業家でありコンサルタントの江端浩人教授。大学とeスポーツ、iUのeスポーツのこれまでと今後の展開についてお聞きした。


江端 浩人先生
~Profile~
iU情報経営イノベーション専門職大学教授
上智大学経済学部卒、米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)。伊藤忠商事で宇宙航空部門で活躍、ITベンチャーを創業後に売却。日本コカ・コーラでデジタルマーケティングを創設、日本マイクロソフトマーケティング責任者、ディー・エヌ・エー(DeNA)事業責任者などを経て独立。江端浩人事務所代表として各種企業のデジタルトランスフォーメーションやCDOシェアリング、次世代デジタル人材の育成に尽力している。メンバー7000名超の次世代マーケティングプラットフォーム研究会主宰。東京都立三田高等学校出身。
連携する「INSOMNIA」の優勝で、2025年度が幸先のいいスタートを
本学と墨田区と公民学連携協定を結ぶeスポーツチーム「INSOMNIA」(株式会社INS、本社:東京都墨田区、代表取締役:本橋壮太)が、2025年3月29、30日に開催された「Pokémon UNITE Asia Champions League 2025 FINALS(PUACL2025FINALS)」で優勝し、8月に開催されるポケモンワールドチャンピオンシップス2025にアジア王者として出場します。ポケモンユナイトは2026年愛知県で行われるアジア大会でも13の種目の一つに入れられていますから、「INSOMNIA」にはアジア大会への出場、そこでの活躍も期待されます。
始まりは2023年秋
本学のeスポーツの取組は、JeSU※1の特別顧問でもある中村伊知哉学長の肝いりで、2023年秋に発出した以下の6項目からなる「eスポーツ戦略」に始まります。
① eスポーツを学ぶ実践的カリキュラムの構築
② eスポーツ活動の科目の単位認定
③ eスポーツ活動のための学内施設整備
④ eスポーツを軸とした学校コミュニティーの発足
⑤ eスポーツによる地域貢献
⑥ 関連各種イベントの実施
これを受け2024年春にはeスポーツルームが開設されました。

私は2020年の開学以来、1年の必修科目「スタートアップ基礎」でアントレプレナーシップを、2022年からはゼミ活動「勝手にコンサル」を担当してきました。2024年度秋学期からは「Zコンサル」と「eスポーツ」に分け、後者ではゼミ生がeスポーツの大会運営・チーム運営等に関わり、またNASEF JAPANと連携し、ニュース翻訳配信も行っています。
※1 日本eスポーツ連合:2015年設立。ゲーム会社などの企業や団体、学校法人などが正会員、賛助会員として加盟。
2025年から本格的なeスポーツの学びが始まる
今春からは、一年生向け基礎科目「eスポーツ」が開設され、eスポーツの構造、配信技術、チーム運営、大会運営、地域活性化、ビジネス、マーケティング、メディア、コミュニティー運営など幅広く学びます。ゲストスピーカーも招く予定で、今後は「eスポーツを学んで卒業できるコース」創設も期待されています。
eスポーツはプロプレイヤーだけでなく、大会運営やチーム運営、スポンサー集め、グッズ販売、調査研究、教育提供など多岐にわたるビジネスチャンスを持っています。若者のコミュニケーション能力や協働力育成にも貢献し、プログラマーやエンジニアへのキャリア展開にもつながります。

生徒急増中の通信制高校の受け皿や、高大連携の積極的な展開も
通信制高校生徒たちにビジネスや起業の視点を提供することも大学の大きな役割です。高校との連携で指導者派遣やeスポーツルーム提供も進めており、今年夏には指導者派遣も実施予定です。
地域連携とその活性化
墨田区と連携して地域活性化に取り組んできた本学は、今後「墨田区のeスポーツ聖地化」も目指しています。蔵前国技館のように、地元ファンとチームを育成し、大きなムーブメントに育てていきたいと考えています。
※2 学生食堂・グラウンドの開放や、地域イベントへの参加、学園祭の一般開放などを実施。
※3 INSOMNIAは日本初の公民学連携のeスポーツチームとされる。
