コミュニケーション

アメリカの大学受験では何が求められているか?
難関大に合格した生徒は語る その1

学業、スポーツ、ボランティア 積極的に取り組んだ高校4年間
エンジニア目指して
カリフォルニア大学サンディエゴ校へ

清水 真理恵 さん

~Profile~
日本人の両親のもとにアメリカ、ロサンゼルス近郊で生まれ育つ。現地校以外に中学1年生まで土曜日の日本語補習校に通い、日本語も身につけたバイリンガル。トーランス市のウエスト・ハイスクール卒。

UC6校に合格

 私の通っている高校では、1年生の時にUC(カリフォルニア大学)とカルステート(カリフォルニア州立大)に向けた受験対策について、カウンセラーが説明してくれます。私は、その時から自分が進む大学について意識するようになりました。また、同級生より1学年上の数学を学んでいた私は、STEM(Science, Technology, Engineering, Mathの頭文字、いわゆる理数系)の分野に進みたいと希望していました。そこで、ロケーション、学費、学部、研究施設や教授陣などをリサーチした結果、UCの6校に願書を送ることに決めたのです。

 私が受験したのは、すべてカリフォルニアの大学。生まれ育って慣れ親しんだ環境であること、海が近く1年中天候にも恵まれていること、さらに下に2人の弟が控えていることもあり、州外の大学に行くと学費が高くなってしまうからです。志願したのは、UCアーバイン、UCサンタバーバラ、UCリバーサイド、UCサンタクルズ、UCデービス、UCサンディエゴのUC6校と、カリフォルニアポリテクニック大学のポモナ校とサンルイオビスポ校、さらにクリスチャンなのでキリスト教系のチャップマン大学にも申請し、すべてに合格しました。その中から、車で2時間南下した場所にあり、寮生活にはなりますがUCサンディエゴを選びました。

重視される課外活動歴

 大学の合否の選考では、GPA(学業成績)、勉強以外の課外活動、ボランティア活動、共通試験であるSATの点数が問われますが、UCの場合はさらにエッセー(論文)が重視されます。私は高校では水泳とウォーターポロのクラブに所属していました。水泳部は男女チームともにパイオニアリーグで優勝、私は3年と4年では、女子水泳代表チームのキャプテンを務め、MVPにも選出されました。クラブ以外でも住んでいるトーランス市の市営プールで子どもたちを教えたり、ライフガードを務めたりするなど、水泳には特に力を入れていました。

 高校では3つのボランティアクラブにも所属していました。地域社会に奉仕するクラブ、より広い地域に向けて寄付活動に取り組むユニセフ、そして地域内の小学校と中学校で、子どもたちに勉強を教えるチュータリングのクラブです。ユニセフは親しい友人が入っていたことから入部しましたが、後の2つには自分の興味から加入しました。シニアだった今年は、そのうちの一つでテクノロジーコーディネーターとしてウェブサイトの運営の責任者も務めました。

 UCを含む私が受験した大学の願書には、このように高校でしてきたことを10項目まで書くことができます。ボランティア経験や活動でのリーダーシップ、さらには受賞歴などを細かく書くことで、大学は受験生を評価する判断材料にするのです。

 エッセーは、高校のクラスで練習しました。最初は「自分のエスニックバックグランド(ルーツ)」について書き、友達に読んでもらって感想を求めたり、先生に添削してもらったりしてブラッシュアップしていきました。

入学前の研修で手応え

 勉強、スポーツ、ボランティアにライフガードなどのアルバイトと、常にスケジュールはいっぱいの状態。それでも頑張れたのは、それぞれの活動で新しい友人ができて、彼らから刺激を受けることが楽しくて仕方がなかったからです。高校1年生の時に、活動を通じて知り合った上級生から刺激をもらいましたから、上級生になった時には、下級生たちのロールモデルになりたいと積極的に取り組むことができました。

 将来の仕事については、子どもたちに教えることが好きなので、当初は教師も考えました。しかし、今はケミカルエンジニアに興味があります。大学でエンジニアリングを勉強するには、大学のプログラムや研究設備、教授陣が重要になってくるので、3年生になる前の夏休みにはキャンパス見学をして、そのあたりも確認しました。

 キャンパス見学で最も好印象だったのがUCサンディエゴ。そして、入学の決定的な要因になったのは、今年の4月に参加したオーバーナイトプログラム。エンジニアリングを専攻したい生徒が3日間、UCサンディエゴに通って受ける研修です。その時の大学の雰囲気はとても素晴らしく、「ここの環境は自分に合っている」と実感しました。また学問だけでなくスポーツも活発な大学であることも選んだ理由です。大学では、新しいことに挑戦して、自分の可能性を試してみたいですし、大学に世界中から集まってくる留学生との交流もとても楽しみです。

お問い合わせ

発行所:くらむぽん出版
〒531-0071 大阪市北区中津1-14-2