コミュニケーション

科学の甲子園全国大会
仲間を信じ助け合う
全知力を傾けて難問に挑む

698校、8725人がエントリー
過去最多の学校数と出場者

科学の甲子園は「広げよう科学の輪活かそう科学の英知」がキャッチフレーズ。全国から選ばれた高校生が一同に会し、科学の知識と応用力を競いながら科学好きの裾野を広げ、トップ層の力をさ識と応用力をさらに伸ばす目的で2012年に創設されました。今大会には、過去最多の698校から8725人がエントリーし、各都道府県の選考を経て、47校361人が出場を果たしました。
開会式では、選手を代表して山形県立米沢興譲館高校の嶋貫太一さんと金子ののかさんが「私たちは、私たちの活動を支え、応援してくださった方々への感謝の気持ちを胸に、正々堂々さわやかに戦いぬくことを誓います」と宣誓しました。大会初日に科学に関する知識とその応用能力を駆使する筆記競技(360点)を、2日目に3つの実技競技(各240点)を行い、その合計点を競いました。

筆記
物理や化学など6分野の課題に挑む

筆記競技は競技者6人・競技時間2時間で、物理、化学、生物、地学、数学、情報の6分野12問に挑みました。
例えば、数学の設問では、中華レストランで見かける回転する丸テーブルの模型を使い、そこに潜む「鳩の巣原理」などの数理を考察しました。さらに発展させて論証とパズルの要素を含む問題も出題されており、模型という具体物を操作することで考えを深めてもらうことを狙ったものです。
設問には、教科・科目の枠を超えた融合的な問題も多く、得意分野の異なるメンバーが、チームワークを発揮してそれぞれの役割をいかに発揮できるかが競技のカギとなりました。
筆記競技では総合優勝の栄光学園高校(神奈川県)が最高得点をあげ、第1位の講談社賞に輝きました。

実技①
クラミドモナスと謎の粉末/光走性のメカニズムを探れ

「クラミドモナスと謎の粉末」(競技者3人・競技時間2時間)は生物の課題。クラミドモナスは、葉緑体を持った単細胞の緑藻類です。光に反応して移動する「光走性(ひかりそうせい)」という特性を利用し、クラミドモナスを集めるなどして光走性のメカニズムを探りました。さらに用意された3種類の藻類の正体を突き止める課題も出題されました。実験器具を正確に操作し、どんな色素が含まれているかを解明し、藻類を特定しました。
1位は筑波大学附属駒場高校で「チームワークを生かせたことと実験に楽しく取り組めたこと」を勝因に挙げました。

協賛企業・団体
(50音順)

●旭化成株式会社 ●アジレント・テクノロジー株式会社 ●株式会社内田洋行
●AGS株式会社 ●株式会社学研ホールディングス ●ケニス株式会社
●株式会 社講談社(Rikejo) ●一般社団法人埼玉県経営者協会
●株式会社埼玉りそな銀行 ●CIEE(ETS TOEFL)
●株式会社島津製作所/株式会社島津理化 ●株式会 社しまむら ●帝人株式会社
●トヨタ自動車株式会社 ●株式会社ナリカ ●公益社団法人日本理科教育振興協会
●パナソニック株式会社 ●株式会社武蔵野銀行 ●株式会社ヤガミ
●株式会社UL Japan

応援企業・団体
(50音順)

●株式会社臼田ファインモータースクール ●三州製菓 株式会社
●サントリーホールディングス株式会社 ●スカパーJSAT株式会社
●セントラル自動車技研株式会社 ●株式会社タムロン
●テクノプロ・ホールディングス株式会社 ●日本エマソン株式会社
●公益財団法人日本発明振興協会 ●株式会社ハーベス
●ブリタニカ・ジャパン株式会社

実技②
光と色とエネルギー/5色のLEDが光るのに必要な最低電圧は?

「光と色とエネルギー(同3人・同2時間)は物理からの出題です。青・緑・赤・紫・黄の5色のLEDを光らせるために必要な最低電圧を測ります。また、光を当てるとLEDが太陽電池のように発電することを確かめます。さらに光を貯め込み、暗くなると発光する蓄光シートに5色のLEDを当てると光り方がどう変わるかも確かめました。身近なLEDを使って光と色とエネルギーの関係を考察し、光のエネルギーが不連続であることに気付かせる課題です。1位は岩手県立盛岡第一高校で「自信があったわけじゃないけど、論理的に解答が書けたと思う。1位というのは本当にうれしい」と喜んでいました。

実技③
はばたけ!コバトン/優勝機は、
40㍍を無給電でひとっ飛び

事前に公開された実技③は「はばたけ! コバトン―ワイヤレス給電はばたき機レース」(競技者4人・競技時間2時間)でした。埼玉県の県鳥であるシラコバトをモチーフにした県の公式マスコット「コバトン」に見立てたはばたき機を製作し、ラインに吊ってレース(予選は30㍍、決勝は40㍍)を行い、所要時間を競います。はばたき機をすばやく進めるために羽根の形状やスピードを工夫したり、短時間で給電できる受電コイルをつくることもポイントになりました。
事前に公開されていただけに、各校とも入念に準備を重ね、ゴールまでたどり着いた機体にはポリ袋の羽根のはばたきを推進力に替えたようなユニークなものもありました。
予選の上位8チームが出場した決勝は、予選1位の広島学院高校と6位の福井県立藤島高校が大接戦を演じましたが、給電せずに40㍍を飛び切る「コバトン」を製作した藤島高校が優勝しました。メンバーは「決勝は一発勝負なので、一か八か、リスクをとりましたが、結果的に良かった」と喜びを隠せませんでした。

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