コミュニケーション

USC卒業生は語る

英語での発信力を磨き、日本の広報力を高めることに貢献したい

山田 真梨子さん
山田 真梨子さん (2007年人文科学部卒)

卒業後は日本に帰国し、台湾のIT企業にて6年以上勤務、現在はイギリスの精密機器メーカーにて働いています。子どものころから色々な人と話しをするのが好きで、高校では、海外交流が多い国際コースに通い、1か月短期留学や東南アジアの人とのキャンプなどを経験、もっと色々な国の人と会ってみたいと北米留学を目指すことになりました。高校卒業後は、北米生活に慣れるのとコミュニティカレッジという2年制の大学入学に必要なTOEFLスコアをとるのを目的に、まずカナダバンクーバーの語学学校に半年通いました。

最初から4年制大学に行かずに2年制を選択したのは、アメリカの4年制大学の学費が高いのと、せっかくなら良質な専門分野の授業を受けるために良い大学に行きたいと考えたとき、英語レベルと成績を伸ばして3年次から4年制大学へ編入(transfer)する道ならチャンスがあると知り、この道を選びました。

2年目の夏休み、編入先の大学を決めるのに西海岸だけではなく東海岸まで足を延ばして、有名大学の多くをこの目で見て回りましたが、最終的には、自分が興味のある国際関係学とビジネスの両方を学べる大学、しかも多国籍な環境を提供しているUSC (全米No.1)で国際関係学を学べること、また私立なので少人数で受講ができることを魅力的に感じ、USCへの編入を決めました。

USCは同族意識が人一倍強い大学で、卒業生のネットワークもとても強く、卒業すれば世界のどこへ行っても困らないとまで言われています。学費は高いですが、それに見合った面白いネットワークが得られます。私立大学である限り、どんなことをしても伝統を守り続けてくれるだろうとの期待もありました。

授業はとても大変で、特にリーディングの量が半端ではないのとそれを基にしてのクラスメイトとのディスカッションには苦労しました。毎週大量の本や資料が渡され、この時は日本の高校で学ぶ文法や長文読解をしっかりしておけばよかったと後悔しました。最近、日本の学校の英語教育では、「聞く」「話す」に注目が集まっているようですが、私の経験では、多読に耐える読解力・速読力・文法力は不可欠だと思います。その証拠に、日本でしっかり勉強してきた人は私に比べ、リーディングが得意なように感じました。ですから、これまでの日本の学校での英語教育が悪いとは一概には言えないと思います。

そして、授業とは別で週3回TA主導のクラスメイトとのディスカッションをしなければいけなかったのですが、自分の質問力の乏しさに、受け身の授業に慣れているのだと日米の授業の違いを体感しました。ただ、自分では思いもつかない意見や価値観には発見が多く、楽しさもありました。また、ビジネスの授業では、課題解決型のものが多く、多国籍の仲間たちと多様なアイディアを練りこんでプロジェクトを完成させるのも面白かったです。

USCの学部はアカデミックなものだけでなく、スポーツからアート、さらにはエンターテイメント系まで揃っていて、卒業生にはハリウッドの著名人などもいます。スポーツでは一時、オリンピックで獲得した金メダル数が、日本より多いこともありました。また富裕層の子弟も多く、独特の雰囲気があるのも特徴の一つといえるかもしれません。

この留学生活で得たのは、そんな独特な世界で培った多様性への理解、そこで生き抜くための忍耐力で、今現在でも私の人生に大きく影響していると感じさせられます。

現在まで、外資系の企業に勤めており、海外の製品を日本で広めるために、日本と海外の人たちのコミュニケーションを繋ぐという役目が多く、やりがいを感じてきました。

今後は、元々、日本のよさを海外の人たちに伝える仕事がしたかったこともあり、英語での表現力をよりブラッシュアップさせて、日本から海外に発信する業務に興味をもっています。

そのためには、英語はもちろんです が、ベースとなる日本語力が重要なことは言うまでもありません。日本語という言語は表現が豊かで、例えば「しとしと」「ぽつぽつ」などの擬態語も、直訳ではその繊細さは理解してもらえません。やはり相手の文化的な背景まで理解したうえで、どう伝えればいいかを突き詰める必要がありますし、それが発信力を高めることにつながるのではないかと考えています。

社会人になって10年以上たっても、いまだにやりたいことが尽きないのは、とても幸せなことです。そのルーツは留学をして得たところにありますから、USCに身を置けたことに非常に感謝しています。

USCで日本語と国際関係を学び、今は日本の大学の国際広報に貢献

ウィットニー・マッシューズさん
東京大学本部広報課 特任専門職員 ウィットニー・マッシューズ Whitney Matthews さん (2008年人文科学部卒)

USCに入学すると、「あなたは今日からトロージャンファミリーの一員です」と歓迎されるように、USCはファミリーであることをとても大切にしています。卒業生の集まりなどに行っても、知らない人とでもすぐ親しくなれるのもそのため。当然、仕事を紹介しあうことも多くなるし、生涯のネットワークにもなります。

私は小さい頃から日本語に興味があり、大学進学に際しては、充実した日本語学習プログラムが多く、自然な日本語に触れられる機会も多いだろうと、西海岸を目指しました。南部のジョージア州出身ということもあったので、大学に入るのを契機にそれまでと違う環境・文化・人に出会いたかったのです。

USCに入ってから本格的に日本語を学び、3年次には1年間、交換留学で早稲田大学国際教養学部に学びました。卒業後は再び日本へ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 (GSAPS) で修士を取り、そのまま日本で就職し現在に至っています。

アメリカの大学の学費は日本の大学と比べて高い方ですが、奨学金は充実しています。自分のコミュニティの中でリーダーシップを示した人や、特殊な事情のある人に向けたものから、家族の中で最初に入学した人や、同じ大学の卒業生がいる人を対象にした奨学金まで、様々なものが大学や民間企業・組織によって用意されています。留学生向けの奨学金もあります。

私は4年間、民間企業の提供する給付型奨学金を利用し、4年次にはワークスタディ制度も利用しました。学生が、大学の受付などの事務やチューターなど、用意された仕事をこなすことで大学から助成を受けるというものです。ただ、学費を全額賄うには程遠く、残りは学生ローンで払いました。もっとも、USCをはじめ多くの大学の卒業生には、社会人になってからかなりの年数、学生ローンを払い続けている人が少なくありません。中には定年まで払うという人もいます。

大学の勉強は、やはり名門ですのでとても厳しいものでした。また高校も私立の進学校で、必修科目は多く、しかも広範囲にわたっていました。たとえば物理学や微積分の授業から英文学や政治組織の授業まで、卒業するために受けなければいけない授業は様々でした。一方、大学のように選択科目もあり、私は鳥類学やジャーナリズムの授業も受けることができました。

授業以外では、高校のバレーボールチームに属したり、ボランティア活動などをしたり、SATやACTの受験勉強もしたりして、充実した高校生活を送りました。かなり忙しい時期もありましたが、USCでも、様々な分野にわたる必修科目がありましたから、大学に入る準備としてはとても大事な経験でした。

私は日本語との出会いから日本も日本人も大好きになり、今その日本で暮らしていますが、よく言われることですが、日本の文化ではコンセンサスが重んじられ、和を保つために自分の意見を言わないことが多い。これは場合によってはとても良いことですが、もう少し自分の意見を気軽に言えるようになればよいと思います。また、このこととどこかで通じるかもしれませんが、学生も社会人もリスクを取りたがらない傾向がある点が気になります。たまにはリスクを――たとえそれが計算されたものであれ――取る方が、ビジネスにも人生にもメリットがあると思いますから、もっといろんな場面でチャレンジ精神を発揮してほしいと思います。

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