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神戸松蔭女子学院大学教育学部(2019年度開設)
教育の神戸松蔭に、教育学部が誕生
小学校英語の教科化と小中連携教育に対応、特別支援教育も充実

待田 昌二 神戸松蔭女子学院大学 学長
待田 昌二 先生

~Profile~
大阪大学人間科学部卒。大阪大学大学院人間科学研究科修了。学位博士(人間科学)。平成8年4月神戸松蔭女子学院短期大学専任講師。平成13年4月神戸松蔭女子学院大学助教授。平成19年4月同教授。平成28年4月から現職。大阪府立三国ケ丘高校卒。

学院創立から126年を数える神戸松蔭女子学院大学※1。2019年度には、15年ぶりとなる新学部、教育学部を開設する。人間科学部子ども発達学科を大幅に改編した新学部について、開設の背景と目的、特徴などについて、待田昌二学長にお聞きした。

※1 1892年1月、英国聖公会により、神戸市北野町に松蔭女学校が創立された。

今なぜ、教育学部か?

現在の学校教育の課題に対応した教員養成が急務とされる今、本学としても半世紀以上の歴史のある中・高教員養成を、社会及び受験生に対してもっと端的にアピールしたいと考えました。
現在、小学校では、次期学習指導要領において外国語(英語)の時間が3、4年生に前倒しされ、高学年では外国語(英語)として必修化されることから、英語を教えられる教員の養成が急務とされています。またその円滑な導入、展開を後押しするために、一部では小・中学校の連携や接続が図られていて、中学校の英語教員への期待も高まっています。
グローバル化に加えて多様化も大きな課題です。幼稚園や学校現場で、身体的・精神的な困難を抱える子どもの割合が増えているとされる中で、そうした子どもたちを分離することなく通常クラスの中で受け入れるインクルーシブ教育※2を目指して、特別支援教育の充実も求められています。今後は特別支援学校教諭免許を持つ、持たないにかかわらず、教員はそのような生徒への理解と支援の方法を身につけておかなければなりません。
本学は、神戸という国際性豊かな街で100年以上に亘って英語教育、異文化理解教育を育んできました。同時にキリスト教精神に基づき、他者への思いやりを学びの一つの柱ともしてきました。今、学校教育において英語教育と特別支援教育に注目が集まる中、このような分野に力を入れることは、まさに建学の精神や教育理念※3、これまで築き上げてきた本学ならではの個性と一致するものと考えたのです。

※2 子どもたち一人ひとりが多様であることを前提に、障害の有無にかかわらず、望めば自分に合った配慮を受けながら通常学級で学べることを目指そうという教育理念、実践プロセス。
※3 教育理念は、キリスト教の精神、実践的な教養、キャリア教育

特別支援教育と、中学・高等学校の英語を加えスケールアップ
――「幼児教育」と「学校教育」の2専修で様々な資格取得に対応

新学部では、従来の人間科学部子ども発達学科における「幼児教育コース」「初等教育コース」を、「幼児教育専修」「学校教育専修」へと改編し規模を拡大します。
「幼児教育専修」は子ども発達学科を受け継ぎ、保育士、幼稚園教諭の免許取得を目指しますが、新たに特別支援学校教諭の資格も取得できるようになります。
「学校教育専修」は小学校教諭免許取得を目指しますが、幼稚園教諭または特別支援学校教諭免許も取得可能な「小学校教育コース」と、中学、高校の英語教員免許の取得も可能な「英語教育コース」を設置します。小学校教員採用試験では、英語の必修化を控え、英語の検定で一定の成績やレベルに達していたり、中学校の英語教員免許状を持っていたりすると、加点や一部の試験免除などの優遇措置が受けられる教育委員会は2017年度には53に上ります(68のうち)。ちなみに大阪市では、中・高免許状取得者は1次選考で90点、2次選考で30点が加点されます。
また学校教育専修には、『児童英語』に加えて、文学部英語学科で教育の実績を積み重ねてきた『早期英語教育』(基礎・応用)などの英語教育科目が置かれます。さらに、提携する聖ミカエル国際学校(インターナショナルスクール)での日本の子どもたちのための児童英語スクール等で実習し単位を取得すれば、「児童英語インストラクター認定書」(学内資格)が得られます。
また、いずれの専修でも、特別支援学校教諭の免許の取得に関わらず特別支援教育について学ぶことができるようになります。この他、子ども発達学科を受け継いで理科教育にも力を入れます。
教育学科は専修別の募集ですが、学校教育専修の2コースは入学後に選択できます。また、教育学部入学者専用の入学前予約型給付奨学金制度も新設され、自宅通学者では授業料が半額、自宅以外からの通学者は授業料半額で、年間家賃補助として10万円が、いずれも最大4年間支給されます(該当する入試や年間所得など応募条件については入学試験要項で必ずご確認ください)。

受験生へのメッセージ

女子大の使命は、女性が置かれてきた歴史と現状を学び、自分を閉じ込めている殻を破って自身を開放し、本当の女性活躍社会を切り拓く知識と態度を身につけるよう支援することです。そして、女性しかいないという環境を活かし、女性が自ら能動的に動いて活躍する機会をできるだけ多く提供することです。とはいえ女性の置かれている状況はまだまだ厳しいですから、安心の場、落ち着ける場を提供したいとも考えています。港町神戸を見下ろす優れた景観と自然を身近に感じられる恵まれた学びの環境の中で、自分が落ち着ける場を確保し、外へ向けて積極的に活動してほしい。“「教育」の神戸松蔭”というキャッチフレーズは、大学全体が「教育力」を高めていくという宣言です。自らの可能性を信じ、未来を切り拓いていこうとするみなさんを、私たち教職員は、全力で応援したいと考えています。


コラム①
長年培ってきた伝統を新学部に結集

『児童英語インストラクター』だけでなく、全国的にも珍しいオーストラリアでの教育実習や関連施設の活用はそのまま新学部に引き継がれる。学内にある子育て支援フリースペース「まつぼっくり」[写真]、併設の社会福祉法人運営の幼保連携型認定こども園「松蔭おかもと保育園」は、いずれも実践の場や実習先として活用され、保育園は就職先の一つともなっている。
外国語教育センターが運営する全学生向けの英語教育としては、学内で居ながらにして留学気分を味わえる「イングリッシュ・アイランド」、また外国語学習支援スペースで、教員や英語指導員などが、予習・復習の指導、アドバイスなど、英語学習について相談に乗ってくれる「ピア外国語応援サロン」がある。サロンには資格試験の最新問題集なども揃っていて、自習、グループ学習にも利用できる。

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コラム②
文学部も変わる

文学部では英語学科が英語運用能力をさらに強化するカリキュラム改編を行う。総合文芸学科は募集停止するが、日本語日本文化学科に「メディア表現コース」が新設される。

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