原田 怜歩さん
公文国際学園高等学校出身
私たちPlungerは、トイレにおけるジェンダー課題の解決を通して「男/女らしい」という概念を脱ぎ捨て、「みんな違って、みんないい」と、それぞれの多様性を分かち合える社会の実現を目指しています。
トイレの重要性を感じたきっかけは、中学3年次に、アメリカで2週間滞在した際、無機質なトイレが原因でホームシックを経験したことです。日本の温かい便座や消音設計が素晴らしいものと感じる一方、アメリカで出会ったジェンダーフリートイレに魅力を抱き、高校1年次にアメリカへ一年間研究留学しました。COVID19の急速な蔓延で緊急帰国を迫られ、現地での研究を打ち切る形となる中、何か日本でもできることは無いかと考え、様々な人を巻き込んで幣プロジェクトを立ち上げました。活動を続ける中で、社会課題の中でもとりわけジェンダー問題は関心の有無に大きく左右されやすい事に気が付き、まずはそれについて興味関心を持ってもらおうと考えました。
代表的な活動が「SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー」の製作及び普及です。SDGsの 17のゴール一つひとつを漫画形式で紹介したもので、老若男女を問わず人々が日常的に手に取って、目にする革新的な教育媒体であると考えています。このトイレットペーパーを置いた空間はいわば令和の寺子屋になります。クラウドファンディングで集めた資金で全国の公共施設や教育機関に寄付し、多くの人が周りの出来事をジブンゴト化して行動できる社会創成を目指します。
大学生になって
私は今春令和四年度学校推薦型選抜で東京大学経済学部に入学しました。面接は、自分の関心分野を専門にする教員との対話でしたが、それを通じて、大学での学びの方向性をそれまで以上に明確にすることができました。 東大では、推薦生一人ひとりに対してアドバイザーの教員がつき研究をサポートしてくれます。もちろんトイレ研究の専門家はいませんが、経済のみならずジェンダーや社会政策などの最前線の課題を、1年次から学べることは非常に有意義だと実感しています。また、推薦生同士のつながりも非常に強く、様々な分野でパイオニアを目指す仲間との定期的な交流は、自己の成長を大いに促してくれます。現在はさらに、高校時代に起業したものとは別に、高校時代から想いを共にしてきた友人や大学で出会った友人らと、社会や自身の興味関心について、対等に話し合えるプラットフォームの制作やアプリの開発を行っています。
起業関連の将来の目標や構想
私は将来、マイノリティコンサルタントになりたいと考えています。きっかけはPlungerの活動を通じてLGBTや障がいを抱える、いわゆるマイノリティにあたる人が、生産や消費を通じた社会参画に大きな意義を見出していることを知ったからです。
現在、マイノリティの多くは、比較的雇用や賃金が不安定だったり、職場環境に馴染めていなかったりするケースが見られます。政府の方針や職場の制度面には変化が見られますが、労働環境そのものはあまり変化していないことに疑問を抱きました。偏見や統計的な差別などの要因はいくつか考えられますが、何よりもマイノリティに関する研究データがほとんどなく、実態がつかめていません。私は労働経済学等を中心に幅広く学びながら、新しいマイノリティ経済学を切り開き、将来的には企業とマイノリティを繋ぐコンサルタントになりたいです。
正直な話、この活動が社会にどれほどの影響を与えられるかはわかりません。しかし、自らの体験から、一人ひとりらしさを表現できる社会はすべての人が主役になれます。そして最終的には企業と個人が互いに働きかけあい、コンサルという職がフェードアウトしていくことこそが私の研究の理想像です。
高校生へのメッセージ
高校生の頃、自分が想像していた人生と、今の私を照らし合わせてみると共通項の方が少ないように思えます。私がトイレの研究をしたいと言ってから、周りの人や環境が自分では想像もできなかった様々な出会いをもたらしてくれました。コロナウイルスの蔓延によって、研究打ち切りなどにも見舞われましたが、角度を変えてみるとオンライン会議システムが整備され、これまで会えなかったような海外の人とも話せる機会ができました。
何かをしたいと決めた時、変えられるのはもちろん自分自身です。しかし、その想いを後ろからそっと推してくれるのは周りだと思います。ぜひ、周りに自分の意見を発信して、ジブンの応援団と一緒に己の道を突き進んでいってください!!