地域に根ざし、地域に学び、地域の課題解決を目指す学生たちの自主的な取組を支援する「地域連携学生プロジェクト」。春に募集と選考を行い、2017年度は前年度から継続の3つのプロジェクトが採択された。6月のプロジェクト採択から、2月の成果報告会まで、活動期間は約1年間。それぞれ独自の活動を進めてきたプロジェクトの1年間の歩みを紹介する。
2018年2月、1年間の活動を通して、学生たちが学んだ事、
プロジェクト活動の成果や課題をまとめて報告を行う
「地域連携学生プロジェクト2017 成果報告会」が開かれた。
当日は、選考にも携わった学内外の評価委員も招き、評価とコメントをもらった。
報告会の内容を元に、3プロジェクトの1年間を振り返る。
宇治☆茶レンジャー

宇治市を中心とした京都府南部地域は、宇治茶の産地として知られている。このプロジェクトは、学生たちが宇治茶について学び、学びを通して知った宇治茶の魅力や楽しさを広く地域に発信する活動で、2017年度で8年目を迎えるベテランプロジェクトとして、学内のみならず地域での知名度も高い。2017年には新メンバーが多数加入し、「宇治茶を知るきっかけづくりの場を増やす」を目標に掲げて活動を進めた。毎年秋に親子を対象に実施している「宇治茶スタンプラリー」(宇治茶にゆかりのあるポイントをクイズに答えながら巡るクイズスタンプラリーで、1万人近い参加者がある年も少なくない)や、中宇治地域のお茶屋を巡り、店主の話しに耳を傾けながら店舗ごとのこだわりのお茶を頂く「聞き茶巡り」といった主催事業だけでなく、学内外の地域イベントにも積極的に参加。お茶を美味しく淹れるコツを伝えるワークショップや、観光シーズンに来訪者に宇治茶を振る舞うキャンペーンなど、参加者とプロジェクトメンバーが直接的に関わる企画の実施にも力を入れた。2018年度も継続実施を予定しており、従来の主催事業のブラッシュアップと子どもたちを対象にしたワークショップの企画を検討している。
商店街活性化隊 しあわせ工房 CanVas

本学のサテライトキャンパスがある宇治橋通り商店街と連携し、商店街の魅力発信、認知度向上、立ち寄り客の増加など、まちの賑わい創出に取組むプロジェクト。2017年度には、以前より実施している「宇治ロゲイニング」の定期的な開催と、商店街の店主さんとのさらなる関係作りに取り組んだ。5月、9月、11月にターゲットを絞り、それぞれの参加者に合ったロゲイニング(本誌124号参照)を実施し、2月には広く一般に募集をかけ、過去最大の参加者を集めることに成功した。また商店街の各店舗へのヒアリング調査を実施し、プロジェクトへの要望や商店街のニーズ把握を行った。2018年度には、ヒアリング調査で伺った商店街からの要望や希望を少しでも実現できるよう活動方針を検討し、宇治橋通り商店街に必要とされる団体に育っていくようさらなる連携強化を進める。また、宇治市の西部エリア「小倉」で、新たな商店街組織「宇治小倉商店ネットワーク」が立ち上がったが、その主催になるイベントでスタッフを務めたり、会議、ワークショップに参加したりと、新たなエリアでの活動展開も始めた。市内の商店街同士が連携協力を進めるなかで、宇治橋通り商店街のみならず、宇治市内の商店街全体に目を向けた活動に期待が高まる。
響け!元気に応援プロジェクト

宇治を舞台にしたアニメ作品「響け!ユーフォニアム」を通して地域とファンを繋ぐ取組を行っている。この作品は、宇治市出身の小説家武田綾乃氏原作による小説をアニメ化したもので、2度のテレビアニメ化と2本の劇場版が制作され、2018年4月にはスピンオフの長編映画「リズと青い鳥」、また年内に別の完全新作映画の公開も控えている。最初のテレビ放映から3年経った今も、物語の舞台である宇治を訪れるファンは多く、また新作映画の公開を機に新たなファンも増えてきている。この状況を捉えて、プロジェクトでは、2016年より宇治橋通り商店街にある本学のサテライトキャンパスにて、月に2回(第2土曜/第4日曜)、定期的にファンが集える場所として「響け!休憩所」を開設している。このような年間を通して継続的に実施する取組は、他のプロジェクトにはなく、評価委員からも高い評価を得た。しかし、休憩所のマンネリ化などが課題としてあげられており、新しいファンも気兼ねなく訪れられるような工夫をしていくことが、2018年度の取組の1つの柱となる。また、これまでも連携のある京阪電車や、作品のファンが結成した吹奏楽団などの他団体とのコラボ事業にも積極的に取り組んでおり、作品を応援する地域全体で、作品のファンから地域のファンを育てていく取組を進めていきたいと考えている。