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杜の都の西北から 第11回 「掃除」してますか? ボランティア先進県と山形西高等学校の「全員清掃」

文:大学ジャーナル編集部

杜の都の西北から 第11回

山形県は、地域に根差した「ボランティア先進県」として全国的にも高い評価を受けている。地域の青少年ボランティア活動が活発であり、「山形方式」とも呼ばれている。地域の活動と相まって、学校単位での活動も盛んに行われていることが山形県の特徴である。

令和6年度に山形県教育委員会が行った調査(※1)によると、県内の高校生が在学中にボランティア活動を行った割合は74.7%にのぼる。その中でも、ゴミ拾いや清掃といった「環境整備」の活動を経験した生徒は38.7%と最も多く、地域の美化に多くの高校生が貢献していることが分かる。山形の高校生にとって、身近な街を自らの手できれいにする経験は、地域への愛着を育むきっかけにもなっている。そのため、県内の高等学校では教育活動に清掃活動を積極的に取り入れている。

各校がユニークな清掃活動を展開

例えば、県の将来構想・キャンパス制に基づく連携関係にある県立長井工業高校と荒砥高校は、毎日の通学手段となっている山形鉄道の駅舎や車両の清掃活動を行った。また、寒河江高校は谷地高校と共同で地域のまつり閉幕後に街の清掃ボランティアを行い、加茂水産高校は海への感謝の気持ちを込めて海浜清掃に励んでいる。惺山高校は、地域の防犯と環境美化に取り組む「パトラン」(※2)を積極的に導入している。また、ごみ拾いの質と量を競い合う「スポGOMI甲子園」(※3)にも多くの高校が参加している。駅やローカル鉄道、伝統のまつり、豊かな海など、山形県内ではそれぞれの学校が身近な地域の特性を活かしたユニークな清掃活動を日々展開している。

山形西高等学校の校舎
山形西高等学校

山形西高校の「全員清掃」と嚶鳴精神

このように、山形県の地域活動の精神的支柱には、環境美化に向かう伝統を見ることができる。その精神が培われた要因として、山形の学校教育が清掃を重視してきたことが挙げられる。それを窺い知るヒントとなるのが、古くからの清掃の伝統を継承している山形西高校の活動である。128年の歴史を誇る同校では、「全員清掃」の取り組みが長年受け継がれてきた。同校では「放課後」ではなく、5校時と6校時の授業の間に約20分間の清掃時間を設けている。生徒は全員参加で、伝統的に心を磨く取り組みの一つとして丁寧な校舎清掃が行われている。清掃を授業と同様に重んじる背景には、同校の活動が「親睦友愛」と「切磋琢磨」を意味する「嚶鳴(おうめい)精神」に貫かれていることがある。先に紹介したスポGOMI甲子園において、2025年山形大会で優勝したのも山形西高校のチームだった。

各校の個性豊かな取り組みや山形西高校に代表される伝統は、単なる美化活動にとどまらない。清掃を通じて郷土を愛する心を育み、自らの人間性を磨くという山形の教育精神は、地域の青少年活動の基盤になるだけでなく、形を変えながら次世代へと受け継がれている。地域と学校が一体となって紡いできたこの精神こそが、これからの山形を支える大きな財産となるに違いない。

※1 令和6年度「山形県高校生のボランティア活動実態調査」山形県教育委員会 令和7年1月

※2 パトロール+ランニングの略称で、ランニングをしながら、街のゴミを拾ったり地域の危険なところがあれば当局に知らせる全国的な活動。惺山高校では2025年だけで20回以上実施している(同校のWebサイト参照)

※3 正式名称は「海と日本プロジェクト スポGOMI甲子園」高校生が3名でチームを組み、60分間で予め決められた競技エリア内のごみを拾い、その質と量を競い合うスポーツ。2025年全国42都道府県で実施された。優勝校は都道府県代表校として全国大会に参加する。(一般財団法人日本財団スポGOMI連盟のWebサイト参照)

筆者プロフィール 小松 悌厚(やすひろ)

(学)東北文化学園大学評議員・大学事務局長、弊誌編集委員。1989年東京学芸大修士課程修了、同年文部省入省、99年在韓日本大使館、02年文科省大臣官房専門官、初等中等教育局企画官、国立教育政策研究所センター長、総合教育政策局課長等を経て22年退官、この間京都大学総務部長、東京学芸大学参事役、北陸先端大学副学長・理事、国立青少年教育機構理事等を歴任、現在に至る。神奈川県立相模原高等学校出身。

大学ジャーナル Vol.167 掲載

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