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ベンチャースピリットに満ちた大学とのコラボで改革を加速、革新に挑み続ける姿勢をアピールしたい

文:大学ジャーナル編集部

初出: 大学ジャーナル Vol.162(2025 年 7 月)

近畿大学は今年で、創立100周年という大きな節目を迎えます。「100年大学」といっても、大規模私立大学の中ではまだまだ若い存在であり、新しいものにチャレンジする役割を担っていると認識しています。しかし一方で、本来の目的が忘れられてしまい形骸化してきた業務なども目につくようになってきました。そんな中で、専門職大学という全く新しいカテゴリーで設立され、既存の大学の価値観にはとらわれないiUさんとの連携は、改めて現状を見直すいいきっかけにもなると判断しました。

iUさんは、2023年に学生の起業率で日本一、その増加率では2年連続日本一※1となるなど、大学界のベンチャーとも言うべき存在であり、その取組、実績からは学ぶべきところがたくさんあると考えています。また歴史や規模、スタイルも全く違う大学との交流自体にも大きな意味があります。例えば持っているネットワーク。本学は病院、研究所、中学・高校といった附属施設・学校やOB組織に加えて、コンソーシアムや大学間連携事業に参画することで、関西でもトップクラスの学外ネットワークを持っていますが、iUさんは、歴史的な大学が持てないような新しいネットワークを多数お持ちです。連携が深まり、人事交流なども進めば、本学の改革のヒントがいくつも見つかるのではないかと期待しています。iUさんとの連携は、本学も改革に挑み続ける大学であるとのアピールにつながるのではないでしょうか。

東西間の距離は、ICT教育で埋める

昨今、東西の大学間連携は珍しいことではありません。しかし多くは、同じような歴史を持ち、規模的にも同程度の大学同士によるものが多いのも確かです。その点、このたびの連携は、専門職大学と総合大学という極めて珍しい組み合わせであり、超少子社会へ向けての私学共生の一つの在り方として注目されると思います。

学生同士の交流という観点からは、東西を行き来するにはコスト面の負担が大きいというハンデは確かにあります。しかし本学、iUさんともに教育ICTでは先進的な取組をしていますから、かなりの部分はカバーできるのではないかと考えています。

日本のeスポーツと、

eスポーツ教育をともに盛り上げたい

連携の目的のもう一方の柱がeスポーツに関するものです。eスポーツについては両大学ともに、その教育面の価値に注目し、それぞれ独自に活用を図ってきました。

本学は日本国内でも屈指の規模を誇るesports Arena【写真上】を有し、利用する学生も多く、またiUさんは、起業やイノベーション創出といった経済活動も視野に入れたeスポーツ教育に力を入れておられます。eスポーツを通じて、両校の学生がコミュニティを広げ、eスポーツ教育の新たな展開につなげていきたいと考えています。

近大が目指す起業家育成教育とは。キャンパスの立地を活かし、KINCUBAで独自の起業家育成を

本学は、「創立100周年に向けて大学発ベンチャーを100社輩出」の目標をすでに達成し、現在は西日本の私立総合大学で一番多くの大学発ベンチャーを創出することを目指し、「関西で起業といえば近大」というブランドを作り上げていきたいと考えています。

ただ、本学の学部段階での起業家育成教育では、多くの大学と異なり、正課で講義を開講しカリキュラムを整備するのではなく、部活やサークル活動のように、課外での展開に力を入れています。というのも、大学では学生同士のつながりが強い影響力を持つため、その力を活かしたいと考えたからです。身近な同級生、あるいは先輩・後輩が起業していると聞けば、学生の意識は一気に変わり、意欲に火が付きやすい。そこで、起業家精神を持っている、あるいは少しでも、“たとえ1ミリでも”、起業に興味をもつ学生のために、互いに刺激しあうための場を提供しようと、2022年10月に24時間365日開放のインキュベーション施設「KINCUBA Basecamp」を開設しました【写真右上】。

そもそも本学のメインキャンパスが立地する東大阪市は、モノづくりのまち、中小企業の集積する町として全国的に知られています。ここに集う企業の多くは、事業計画をきっちりと立て、綿密な構想の基に創業されてきたわけではなく、むしろ「夢をもって行動したい」というマインドをモチベーションの根っこにしてきたのではないか、このような地域の伝統や風土こそ、学生が起業を学ぶには最適な環境ではないかと私は考えています。

また本学の強みは、キャンパスやその周辺を訪れていただくとわかりますが、「多様な人々の集まり」です。経営学部、理工学部、薬学部、国際学部などといった異分野の教員・学生、あるいは周辺の商店街などで学生を温かく見つめる大人たちが集い、ある種カオスのような環境を生みだしています。学生たちは、その中に飛び込み、リアルな接触を通じて、自分たちのコミュニティを形づくっていくわけですが、そこから、互いの知を持ち寄って日々新たな試みに挑むまでの距離や時間は、極めて短いと考えています。

通信制・共通教育のオンデマンド化をさらに進めたい

私が部長を務める通信教育部は、創設者世耕弘一が、経済的な理由で27歳まで大学に行けなかった経験から、「学びたい者に学ばせたい」「すべての人が大学教育を受けられるようにしたい」との理念に基づき昭和32年に開設されました。その後、安価な授業料と原則無試験での入学をうたって発展してきましたが、コロナ禍には、それまでに体制を整えてきたオンライン教育が、全学的な展開の支えとなりました。

このような経緯もあり、本学では対面授業が再開されてからも、通信教育および共通教育の ICT 化を推進してきました。そしてその結果、今では語学科目を除く共通教養科目(一般教育科目)は、基本的には全てオンデマンドでも受講できるようになっています。それもあって、今春、開設された建築学部の通信教育課程の滑り出しも極めて順調です。

オンデマンド化の良さは、「何度でも視聴でき、理解度に応じて学修ペースを調整できる」など、個別最適な学びが可能なことに加えて、提供する側にとっては学修に関するデータが取れることにあります。一般的には、早送り視聴や成績低下の懸念を指摘する声もないわけではありませんが、本学では現在まで、こうした弊害は確認されていません。

ちなみに情報学部では、語学教育においても、専用アプリを開発しオンデマンド化を拡充しつつあります。これが整備されれば、英語・ドイツ語・フランス語・中国語にとどまらず、海外の若者の多様な学習ニーズに応えることができるようになりますから、日本の大学がもっと「世界を相手に」展開することも可能になるのではないでしょうか。

《脱偏差値》、グローバル

スタンダードに目を向けてほしい

日本の大学がさらなる飛躍を遂げるには、関西で言えば、いわゆる「関関同立」「産近甲龍」といった偏差値で大学をランク付けするような価値観から自由になることが不可欠だと思っています。偏差値は入試の合格可能性の単なる指標にすぎず、入学者の潜在能力や、入学後に学生がどれだけ成長したかを評価するものではありません。ましてや大学自体を評価するものではないはずです。

大学のグローバル化が喫緊の課題であるなら、高校生には国内でしか通用しない偏差値ではなく、世界で通用する、まさにグローバルスタンダードを基準に大学を選んでほしいと思います。

さいわい本学は、THEなどによる世界大学ランキングにおいて、関西の私立総合大学中では常に最上位に位置付けられています。もちろん順位がそれほど高いわけではありませんが、すでに《京大・阪大・神大・近大》という評価は定着しつつあります。中でも医学部は2つの附属病院を有し、国立大学にも引けを取りません。今年、医学部・近畿大学病院が移転予定の新キャンパス「おおさかメディカルキャンパス」【写真上】には、最新の設備機器が備えられ、来春には看護学部※2も設置されますから、優秀な研究者が集まれば世界的な評価はさらに高まることでしょう。

高校生のみなさんがドメスティックな価値観から離れ、グローバルな価値観で大学を選択する時代が訪れた時こそ、日本の大学全体がさらに発展する時ではないか。本学はその時のために、国立大学にも伍していける大学を目指して改革を続けていきたいと考えています。※1 経済産業省による大学発ベンチャー実態等調査による。2024年度(10月末時点での、2023年度との比較による)「大学発ベンチャーの伸長傾向」(2025年6月6日の同速報)では、iUは4位、近畿大学は9位に入っている。 ※2 仮称・設置認可申請中。設置計画は予定であり、変更になる可能性があります。

キャプション

  • esports Arenaインキュベーション施設「KINCUBA Basecamp」「KINCUBA」プログラムおおさかメディカルキャンパス

大学ジャーナル Vol.162 掲載

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