*3 NCAA: National Collegiate Athletic Association (全米大 学体育協会)の略称
*4 UNIVAS:一般社団法人大学スポーツ協会の英名(Japan Association for University Athletics and Sport)の略称、な お、UNIVASについてはスポーツ庁HP掲載「大学スポーツへ の大学としての関与支援体制 手引書、事例集」(UNIVAS) (令和4年度感動する大学スポーツ総合支援事業の成果報告 書)の関連部分を参照した。
AI は物理学者にとっては研究の対象ともなる「自然現象」です。刺激的な新しい現象をたくさん提供してくれるため、物理学者その背後のメカニズムの解明に挑戦しています。例えば、ChatGPTのようなAIによる発信を自然現象だと捉えると、物理学者としては、その仕組みを説明できる法則があるはずだと考えます。そして、機械学習に基づくAIを理解するために、物理学の考え方は有用だと考えているのです。その端緒はたくさん見えています。
5年ほど前にNASAの研究所で客員研究員をしていた時に宇宙太陽発電所(SPS Space Solar Power Station)の計画を知り、帰国後に研究を始めました。これは、宇宙に超大型の太陽電池パネルを広げて、太陽光発電によってクリーンな電気エネルギーだけを地球に伝送しようというものです。伝送は送電アンテナから太陽光発電によって得られる直流電力をマイクロ波に変えて地上に降ろす方法で、受電アンテナ基地で再び電気に戻します。私はマイクロ波送電の実証実験などを行いました。
確かに世界は、広くて多様性に満ちている。しかしいろんな国、いろんな地域を明確に区別しても意味がない。エバさんは、区別より同一性が大事であると言う。その理想を胸に、彼女は「West and East(西と東)」というプロジェクトに取り組む。日本人の目から見ると、日本、中国、韓国などの東アジアの人々以外は全部西方人である」と彼女は言う。だからこのプロジェクトでは差異性を認識したまま、区別を特に強調せず、同じ人間性に注目する。 2019年に自身で作詞したオリジナル曲を集めた音楽アルバム「ウエストとイースト」には、西と東を融合するという彼女の理想をこめた。エバさんは次のような歌詞を書いた:
West と Eastこの議論は終わらないでしょう。
宇宙人との積極的な交流が始まれば いいのかしら?
地球は一つ、人の心も一つ、泣くことも、笑うことも、愛することも、訳す必要がない。
We all cry,
we all laugh,
We all love,
we all die,
In the same language.
成蹊学園はまた、創立以来、体験型学習を重視してきました。今でいうPBL(Project Based Learning)にも当たるもので、時に失敗する子どもたちに、それを通じて考えさせる。フィールドにも出て、本物や実物に触れる。また本物を探したり、本物を作ったりもします。これが「プロジェクトの成蹊」の原点です。
もう一つの目玉は、グローバルに活躍したい人のためのグローバル教育プログラムEAGLEの一部が学べるのがグローバル・コミュニケーション副専攻です。 ちなみにEAGLE(Education for Academic and Global Learners in English)は、成蹊ブリリアント2020の一翼を担うもので、学部横断型で定員30名の特別プログラムです。2学科型グローバル教育プログラム統一入試(G方式)の受験が必要で、特別な外国語教育はもちろん、一年の夏休みにはケンブリッジ大学で3週間学び、2年では中長期の留学に出かけるなどの特別なカリキュラムが用意されています。留学先大学の多くで授業料が免徐されるほか、留学奨学金も支給されます。海外インターンシップやグローバル・キャリア・デザイン科目もあり、帰国後は自分の受けたい科目を英語で受けられます。意欲の高い人にはどんどん力をつけてもらえるプログラムという位置づけです。
最近は国内の地方大学との連携も始めました。昨年度に始まったのが島根県立大学との連携。本学の学生が島根へ行き、先方の学生と一緒に津和野の町おこしに取り組みました(写真)。都会育ちの学生には、川に鯉が泳ぐ津和野の町は新鮮そのもの。農家や商店街の人にインタビューしたり、企画や方向性について島根の学生と討論したりする中で、参加した学生の多くが飛躍的に成長したと聞いています。「サステナビリティ教育研究センター」と「Society5.0研究所(仮称)」で「Society5.O for SDGs」について研究、その成果を教育に還元「成蹊大学USR綱領」を定め、教育、研究、その他社会貢献活動を通じて《大学の社会的責任(USR)》を果たしていくことを宣言した成蹊大学。昨年には、持続可能社会に向けた取り組みや教育方法について、学園をあげて研究すべく「サステナビリティ教育研究センター」を開設し、2020年度からは、大学の教養カリキュラム(全学共通)の中に、「持続社会探求」の科目群を設け、研究の成果を大学教育にフィードバックする。また近い将来「Society5.0研究所(仮称)」を開設し、超IT社会の持続可能性について多面的に考察する。とりわけ技術倫理、情報倫理等についての教材研究に力を入れ、大学の情報教育にフィードバックさせるなど、「サステナビリティ教育研究センター」との両輪で「Society5.O for SDGs」に関する教育研究のトップランナーを目指す。
小高い丘を登り、青々とした芝生の向こうに立つ時計台と背後に聳える甲山を見上げ、「この大学で学ぼう」と入学を決意した村田治学長。それから40年余。「Kwansei Grand Challenge 2039」(KGC2039)※1を軸に、さらなる改革を加速させる関西学院大学を牽引する。「時計台を中心に実学的な学部を左、精神的な営みを探求する学部を右に配し、その両面を身につけるというキャンパスの構図※2が、“素直な”気風を育ててきたのではないか」「今後は品位に加え、強さを取り入れていくことが課題」と語る村田学長に、Society 5.0※3へ向けての人材育成、そのための改革についてお聞きしました。
原因の一つと考えられるのが、理数教育の弱体化。この春には文部科学省と経済産業省が「数理資本主義の時代」をまとめ、Society 5.0へ向けては理数能力の育成が急務であると警鐘を鳴らしました※4。また、2017年度には、日本の研究開発力の低下はゆとり教育で数学と理科の授業時数が極端に減ったことが原因ではないかという、経済学者グループによる報告も出されています※5。これはスタンフォード大学のハヌシェク博士(Eric. A. Hanushek:エリック・アラン・ハヌシェク)による、PISA(Programme for International Student Assessment:国際的な学習到達度に関する調査)等の国際学力テストの数学と科学の成績が、生産性や経済成長率と相関関係にあるという指摘とも一致します。
AIやIoT(Internet of Things)、ロボットに日常的に囲まれるSociety 5.0では、文系の人間であってもこれらの基本的な構造を理解しておくこと、理数系についての基礎的な素養、特に微積分学、代数学、そして統計学などの理解は最低限必要でしょう。しかし日本ではこれまで、大学受験のために理系と文系を分け、大学進学後も卒業後も、その区分に沿ったキャリア形成が大半を占めてきました。その結果、理系人材は文系の出身者に比べてコミュニケーション能力が低く、逆に文系人材は論理的思考能力が弱いなどの極端な通説(俗説)さえも生まれています。
Society 5.0へ向けて、求められる能力、教育の目的が世界的に変わる中、この方法は限界にきています。日本経済団体連合会会長による昨年の新卒一括採用についての発言はその象徴ではないでしょうか。「日本人はプロセスイノベーションに強くて、プロダクトイノベーションが弱い」、つまり「できたものをより効率的に生産していくのは得意だが、新しいものを作るのは苦手」などとも言われてきました。しかし、関西学院の二つの国際学校※7の生徒たちを見ている限り、これは教育や制度、組織のあり方によるものだと実感しています。
2021年春、理数系人材育成の強化と、文理横断教育の加速を通じて、これからの社会が必要とするイノベーションの起こせる人材、アントレプレナーの育成を目的として理系を中心に神戸三田キャンパスを大きく改編します。キャッチフレーズは“Be a Borderless Innovator”(境界を超える革新者)。学生が国境、文系・理系の枠、学問分野、大学と社会などの様々な境界を越えて活躍することをイメージしています。
「総長PITCH THE FINAL」[写真]では、1チーム5分間のピッチと3分間の審査員との質疑応答で「総長賞」「SSAP賞」に加え「オーディション賞」を決定。入賞者は各賞に応じて、オーダーメイド研修などの特典と、アクセラレーターによる個別フォローアップが受けられます。すでに昨年の入賞者からは、事業展開を進めているチームも生まれています。
R I M I X の活動の一つである「Beyond COVID-19」は、コロナ禍でリアルな活動が制限される中でも、「何か行動を起こしたい」という学生の声をもとに、オンラインコミュニティスペースを整えたのが始まりです。立命館学園の学生・生徒・児童・教職員がプロジェクトを立ち上げ仲間を集うことができ、80以上のプロジェクトが発足しています。
京都大学のせいめい望遠鏡をはじめとした複数の望遠鏡による連携観測で、若い太陽型星で発生したスーパーフレアに伴って巨大フィラメントが噴出しているようすが初めて捉えられました。若い頃の太陽がどのようにして地球や火星の大気に影響を及ぼし、生命の生存環境が作られていったのかという疑問を解く糸口となる可能性があります。 太陽で発生する巨大な太陽フレアは、しばしばフィラメントの噴出のような質量放出現象を伴って、地球・惑星環境に影響を与えることが知られています。年齢が数億年程度の若い太陽型星や若い頃の太陽では、現在知られている最大級の太陽フレアの10倍以上という膨大なエネルギーを放つ「スーパーフレア」※2が発生し、それが若い惑星の大気や生命居住の可能性に多大な影響を与えていたと推測されています。また、現在の太陽でも、非常にまれではあるもののスーパーフレアが発生する可能性が示されており、我々人類の文明に及ぼす影響が危惧されています。 国立天文台の行方宏介特別研究員、前原裕之助教らの研究グループは、京都大学岡山天文台のせいめい望遠鏡をはじめとする複数の地上望遠鏡、衛星望遠鏡を連携させて若い太陽型星「りゅう座EK星」の 長時間の監視観測を行いました。その結果、太陽型星では初めてとなるスーパーフレアの可視光線での分光観測※3に成功しました。このデータを、京都大学飛騨天文台で観測された太陽フレアに伴うフィラメント噴出のデータと比較したところ、スーパーフレアに伴って巨大なフィラメント(温度約1万度のプラズマ)が噴出していたことが明らかになりました。しかも驚くべきことに、今回の現象で放出されたフィラメントの質量は、太陽で起こった史上最大級の質量放出の10倍以上であり、秒速約500キロメートルもの速度に達することが判明しました。 今回の成果は、若い太陽が、現在の太陽(あるいは太陽と同程度年齢の恒星)よりも、その周りを回る惑星の環境に非常に大きく影響を与えていた可能性を示唆しています。若い惑星において、生命の生存環境の生成やその維持に若い太陽型星がどのような役割を果たしていたのかを、今後は具体的に議論できるようになることが期待されます。また、りゅう座EK星の大気の特性が太陽と比較的近いことから、現在の太陽でスーパーフレアが発生した場合の地球環境への影響を予測する手がかりとなり、我々人類の文明に減災面で貢献できることも期待されます。 この研究成果は、K. Namekata et al. “Probable detection of an eruptive filament from a superflare on a solartype star”として、英国の天文学専門誌『ネイチャー・アストロノミー』に2021年12月9日付で掲載されました。
P r o f i l e 1981年京都大学薬学部卒業、1983年京都大学大学院薬学研究科修士課程修了。 1987年 薬学博士(京都大学)。1985年岐阜薬科大学助手、1989年米国テキサス大学博士研究員、1993年 HSP研究所副主任・主任研究員、1999年京都大学大学院生命科学研究科助教授、2003年より京都大学大学院理学研究科教授(生物科学専攻、生物物理学教室)、現在に至る。2005年ワイリー賞、2009年ガードナー国際賞、2011年上原賞、2013年朝日賞、2014年ラスカー基礎医学研究賞、2016年日本学士院賞・恩賜賞、2018年生命科学ブレイクスルー賞、他多数受賞。2018年文化功労者に選出。岡山県立倉敷青陵高等学校出身
秋田県の博士号教員は、平成20年度の採用から、社会人枠の博士号取得者という枠組みで募集が始まりました(宇佐見忠雄,2009, A Study on New Waves of the Teacher Adoption: 21–35p 博士号教員の活用について:平成21年5月18日秋田県教育委員会、文部科学省HP 現在は7名が県内の主要な高校に配置され、教科指導のほか「出前授業」を行っています。
参照・引用した資料・ 厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」2016年。本報告書では、米国公衆衛生総監報告書に倣い,喫煙と疾患等との因果関係を 4 段階で判定している。 レベル1は「科学的証拠は,因果関係を推定するのに十分である」としている。・ WHO Report on the global tobacco epidemic 2023 p51-55・ 厚生労働省「喫煙環境に関する実態調査」の調査結果(令和元年度から4年度)
Notre Dame de Namur University英文科卒業後、San Francisco State University 英語専攻 修士課程修了、Temple University 教育学研究科 英語教育学専攻博士課程修了、Temple University Ed.D.(教育学)。1986/04~2007/3文京女子短期大学英語英文学科専任講師から助教授、文京女子大学人間学部教授、文京学院大学、外国語学部教授を経て、2007/4~2010/3千葉大学教育学部・大学院教育学研究科教授。2010年から現職。1991/02~1997/07及び2015/04~2016/03ハーバード大学 大学院教育学研究科客員研究員、専門分野及び関連分野:小学校英語教育、 第二言語教育、 読み書き教育。主な著作に『小学校英語の文字指導 リタラシー指導の理論と実践』(東京書籍)、『小学校英語の教育法 ―理論と実践―』(大修館書店)。広島市立舟入高等学校出身。
かつてカナダの応用言語学者が、英語を習得するには3000時間要ると言っていたのを覚えています。日本はようやく小学校で157時間。中学校はその倍で約300時間程度、高校、大学を入れても、授業時数だけなら1000時間ぐらいにしかならない。よく「中学・高校、大学と10年間も英語を学んできたのに…」と言われてきましたが、反対に言えばそれだけしかやっていないからできない。さらに言えばやればできるんです。受験英語も、否定的に言われることがありますが、一つの大切な基礎を作ってくれているという意味で役に立たないことはありません。 今みなさんに必要なのは、とにかくできることはやること。learn about English ではなくuse English の風潮下では、小学校では言語活動においてbig voice, gesture, eye contact が評価され、pronunciation や intonation など言語的な側面はまだ十分に評価されていない。そしてその弊害が一番顕著に出るのがリテラシーです。 かつてよく英語が使えても使わないと言われていたフランス人をはじめ、近年のヨーロッパの人たちの英語力向上には目を見張るものがあります。良くも悪くも止めることはできないグローバル化の中で、英語格差の拡大には歯止めをかけたいもの。情報収集、情報発信を英語でできるかどうかで、世界の広さが変わってくる。その違いは、私たちの若い時とは雲泥の差だと思います。個人レベルでは、それこそ生涯年収に大きな差が出てくるかもしれない。また、「日本は稼ぐ力が弱くなった」と言われていますが、その要因の一つに英語が使えないことはないのか、あらためて考えてほしいものです。 もちろん、直近では機械翻訳の性能向上や生成AIの登場などの好材料もあります。ただそれだけではコミュニケーションの深さは補えない。まして子どもの外国語学習の基本は変わらないと思います。 言葉は心、言葉が心を育てる。言葉があるから心が育っていく。そしてまた心を表す言葉のみがその人の言葉として残っていく。ストーリー学習で『ミトン』をしていた時、寒い冬に、寒さに震えるネズミさんになったつもりで、Can I come in ? と、心を丸ごと出して英語学習に取り組む子どもたちを見ていると、それが実感できます。だから子どもたちには、デジタルには還元できない人と人とのつながりの中で、生きた言葉を育ててほしい。デジタル音ではなく、肉声で語る言葉に触れ、端末に書かれた文字情報ではなく、人の顔を見て、息遣いを感じて、新しい言葉に接してほしいと思っています。
Society5.0※1の実現へ向けて、多くの大学でも、そのための研究に加えて教育、人材育成にも力が注がれています。こうした中、平成30年に国の「Society5.0実現化研究拠点支援事業(iLDi :Initiative for Life Design Innovation)」※2に唯一採択されたのが大阪大学。ライフデザイン・イノベーション研究拠点(iLDi)の名のもとに10のプロジェクトが進行中です。その中で、全体の要とも言えるPLRシステムを担当し、サイバーメディアセンターで2度目のセンター長を務める下條先生に、iLDiについて、Society5.0で求められる力、高校までに学んでおきたいこと、経験しておきたいことについてお聞きしました。
※1 IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、ロボット技術、人工知能等のイノベーションを、産業や社会生活に活用し、人々が活力に満ちた質の高い生活を実感できる社会。
※2 情報科学技術を基盤として事業や学内組織の垣根を越えて研究成果を統合し、社会実装に向けた取組を加速することでSociety5.0の実現を目指す拠点団体の支援を目的とする事業。
iLDiへの期待と、 そのための課題とは?
ライフデザイン・イノベーションとは、個々人の医療・健康情報(PHR:Personal Health Recordパーソナルヘルスレコード)と、職場や学校などにおける食事、スポーツなどの日常の活動データ(PLR:Personal Life Recordsパーソナルライフレコード)を蓄積、活用する仕組みを作ることで、より豊かで快適な生活を送ることができる社会が創出されることを言います。IoTを使ったSmartCity構想(図1)に基づくもので、大阪大学では、エデュテインメント(edutainment: entertainmentとeducationの造語)、ライフスタイル、ウェルネスの3分野において、3つの領域にまたがる以下の10のプロジェクトを展開しています。 ①保健・予防医療プロジェクト(個人の生涯の健康記録を軸とした医療の実現)、②健康・スポーツプロジェクト(パフォーマンス解析からその向上予測と外傷障害予測)、③未来の学校支援プロジェクト(学習や学生生活支援と、ひきこもり、いじめの早期発見)、④共生知能システムプロジェクト(情報メディア、ロボットの活用で高齢者が長期に働けるなど、人口減少時代に向けての新しいQOL(Quality of Life生活の質)を提供)(以上が「未来創生研究」)、そして⑤情報システム基盤プロジェクト(ブロックチェーン(Blockchain)による分散管理、データベース内の個人情報保護などパーソナルデータハンドリング基盤の研究開発)と、⑥行動センシング基盤プロジェクト(スマートフォンや腕時計型センサーなどのIoTを活用)(以上が「データビリティ基礎研究」)。さらに「社会実装のためのプロジェクト」として、⑦実証フィールド整備プロジェクト(実証実験フィールドの設置とデータ利活用基盤の構築)、⑧社会技術研究プロジェクト(個人情報、プライバシー保護などELSI(Ethical, Legal and Social Issues:倫理的・法的・社会的課題)についての研究)、⑨データビリティ人材育成プロジェクト(多種多様な産業で活躍するAI技術の目利き人材育成)、⑩グランドチャレンジ研究プロジェクト(PLR活用拡大のための革新的研究の募集)。 SmartCityをさらに4つに分けて考えたのが図2で、どのシステムにおいても〈計測・可視化〉〈改善〉〈実現〉のサイクルを繰り返すところに特徴があります。例えばIoTシステムでは、家電にIoTを内蔵することで、ソフトを入れ替えるだけでハードを買い替えずに済むようになるといった具合です。 基盤となるのが様々なデータの収集と、蓄積、分析を行うためのシステムです。長年、広域環境における大規模データの効率的処理を可視化する研究を続けてきた私は、今回のプロジェクトでは基礎となる部分(プロジェクト⑤)を担当しています。 Society5.0では、あらゆるものをデータ化し、それらを統一した仕様の下に蓄積することで、AIやIoT、ロボット等を駆動し、人工システムやサイバーシステムだけでなく、人間や自然のシステム、つまり社会政策やサスティナビリティ(Sustainability持続可能性)など、人文社会科学が対象とする課題の解決も図ります。ただその際、〈計測・可視化〉〈改善〉〈実現〉のサイクルの回るスピードが、《人工》《サイバー》システムでは早く、《人間》《自然》のシステムでは遅いことには注意が必要です。《人間》では、法制度や政治、経済、経営など、《自然》では気候変動といったように、長期の観察や計画が必要な課題も多いからです。様々なデータは、集まれば集まるほど利用者の利便性は高まり、社会の課題の多くを解決できるようになるかもしれませんが、一方で、《人間》システムにおける個人情報の取り扱い※3のように、社会の理解や合意、納得を取り付けるためには時間が必要なものも多いからです。
日本が科学技術力においてかつての優位を取り戻すためには、技術主導ではなく、“What to make” “How to use”を考え、様々な意見を出し、ぶつけ合える若手研究者・技術者の育成が欠かせないと松波先生。また目下問題となっている大学院博士課程進学者の減少については、若手研究者への一層の支援を国に求めるとともに、研究に進む者には、多くの先人や同僚が口にするように「3P(Passion、Persistence、Patience、―-情熱、継続、忍耐)を持って取り組めば、Luck(偶然、幸運)を得るchanceがある」ぐらいのマインド、姿勢を持って欲しいと説く。何事においても予定調和的な今の社会の風潮に背を向け、「人と異なることをする勇気」を持ってほしいとも。最後に、座右の銘としている尊敬するショックレーの言葉“Creative failure”「失敗は成功の基」、“Accident favors prepared mind”「幸運は用意された人のみに宿る」、“Try the simplest case, or approach the simplest case”「もっとも簡単なものを試せ、あるいはもっとも簡単なものに近づけ」を引き、これらの言葉を忘れず、コロナ禍さえも一つの契機としてほしいと力強く語ってくれた。
用語集
SDGs:(Sustainable Development Goals)持続可能な開発目標で17の目標がある。 インバータ:直流電流を交流電流に変換する電気回路。 コンバータ:交流電流を直流電流に変換する電気回路。 瞬停対策装置:UPS(Uninterrupted Power Supply)停電などによって交流電力が断たれた場合にも電池などに蓄えた直流電力をインバータで交流電力に変換して供給し続ける電源装置。 燃料電池:電気化学反応によって燃料の化学エネルギーから電力を取り出す(発電する)電池。SDGs向けには水素と酸素の反応を用いるのが好ましい。 セレンディピティ:素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。 HEV:(Hybrid Electric Vehicle)エンジンと、モータの動力源を同時、または個々に作動さる自動車 パワーコントローラ:(Power controller)太陽光発電で作った直流の電気を交流に変換する機器。インバータのこと。 回生ブレーキ:(Regenerative brake)運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置。 機電一体型モータ:モータの内部にインバータを組み込んだもの。
今年5月、大妻女子大の学生がXでこうつぶやいていた。 「正直しんどいですよね 人間の頭や体が吹き飛ばされ、逃げ延びた場所をなお燃やされ続けているのに、私が生活の中で触れ合う学生は誰もその話をしないんだから」。 パレスチナ・ガザ地区での悲惨な状況をさしており、学生は抗議の意志表示をしたいけれど、話し合う仲間がいない、という訴えだ。 それでも学生は行動を起こした。「パレスチナに連帯する本よみデモ」を企画した。Xでこう呼びかけたのだ。 「大妻構内にて、パレスチナに対するイスラエルのジェノサイド・民族浄化について学び抵抗を示す、読書を通じたデモ活動を始めます。これは、パレスチナに対するイスラエルの大量ぎゃくさつ・民族浄化について学び、抵抗を示す、大妻生有志による静かなデモです。パレスチナに関する本や資料を用意しました。大妻生のみなさん、気軽に参加どうぞ」(5月9日)。 デモといえば、街頭や大学構内を行進するというイメージを抱かれやすい。1970年前後の学生運動世代にすれば、ヘルメットに覆面姿で石や火炎ビンを投げつけ、機動隊と衝突したことを思い浮かべるかもしれない。 いまは令和、2020年代だ。半世紀以上前のシーンは現れるわけがない。 デモ=demonstration、つまり意志表示さえできればその手段は創意工夫で何でもありだ。「読書を通じ」「イスラエルの大量ぎゃくさつ・民族浄化について学び、抵抗を示す」デモと、機動隊と角材で対峙したデモのメンタリティは、本質的に変わっていないはずだ。 だが、大妻女子大の学生はキャンパスで戦争反対を訴え、デモ行進をしたかったのではないか。しかしそんなことをしたら、大学職員が飛んできて事情を聞かれ、大学から厳しい処分を受けかねない。 大妻女子大にはこんな学則がある。 「大学・短大学則第25 条、大学院学則第38 条に基づき、以下の「本学学生としての本分に反する行為」をした場合は、処分の対象になります。 学内での喫煙・飲酒、学内での政治活動及び宗教活動・・・・」(大学ウェブサイト)。 なるほど、読書デモが精一杯である。 これは大妻女子大に限ったことではない、戦争反対を訴えたいが処分される、就職活動で不利益を被ると考えただけで行動を起こせない。学生は社会と向き合い発信しようとすると憂鬱な気分になる。もちろん、大学は読書デモを罰するような焚書坑儒的な処分はしないは ず。そういう意味で読書デモというアイデアはなかなかのものだ。 もっとも、多くの学生にすれば、正々堂々とデモを行いたかったはずだ。 たとえば、東京大駒場キャンパスではパレスチナ国旗に模したテントが建てられ、集会を開くと多い時で500人の学生が集まった。早稲田大キャンパスでも100人以上の学生が声をあげている。学生が英語でアジテーション、いやアピールをした。 上智大では50人が学内などでデモを行っている。大学新聞が学生の訴えをこう伝えた。 「~~“We will not stand down until publicly call for a ceasefire, and you divest from Tel Aviv University(大学が公に停戦を呼びかけ、テルアビブ大学から手を引くまで、私たちが身を引くことはない)”と主張した」(上智新聞2024年5月21日号)。 上智大はイスラエルのテルアビブ大と提携しており、その解消を求めたものだ。これに対して、同大学の曄道佳明(てるみち・よしあき)学長は声明を出した。「教皇フランシスコのメッセージにもあるように、国際社会はパレスチナ・ガザ地区に起きている人々の非人道的な状態に極めて大きな憂いと憤りを抱いています。上智大学は、武力行使によって引き起こされる全ての人権侵害に反対するとともに、即時停戦と、人間の尊厳に基づく当該地域の人々の生活の回復、安全を求めます」(2024年5月28日)。 上智大トップの「大きな憂いと憤り」はイスラエル批判とも受け止められる。実際、駐日パレスチナ常駐総代表部はXで謝意を示した。「上智大学の皆様ありがとうございます」(5月29日)。 だが、テルアビブ大との提携に触れていない。これに不満な学生はキャンパス内で抗議活動を続けている。 2024年7月現在、キャンパスでパレスチナ連帯のデモ(テント設営、集会、スタンディング、座り込み、施設にポスター掲示など)が見られたのは、SNSで確認できる限り、東北大、東京大、東京都立大、青山学院大、大妻女子大、国際基督教大、上智大、多摩美術大、東洋大、明治大、早稲田大、大阪大、京都大、立命館大など。 学問の目的の一つには戦争を起こさせず、平和な社会を追求することがある。そのために研究者は理論を構築し、学生は学び実践する。いま、世界中の大学でパレスチナ連帯の輪が広がっている。だが、日本の大学ではそれほど盛り上がっていない。その理由として、大学の管理が厳しい、学生に意志表示する習慣がなかったことなどがあげられる。戦争に反対する、それは大学での学びでもあることを、大学構成員(学生、教職員)は肝に銘じ、大学は戦争をやめさせる術を研究し、それを行動によって示してほしい。間違っても、学生を憂鬱にさせる指導、管理はやめていただきたい。
幅広い活動を含む平和構築の中で、特に私が力を入れて研究してきたのが「移行期正義」(transitional justice)です。南アフリカの真実和解委員会の活動もその一例ですが、紛争後の社会における正義のあり方を意味します。過去の暴力や犯罪に対しては真相究明と責任追及を行い、将来の紛争防止のために制度改革を行う、過去と未来に働きかけるプロセスです。以下の4つが主なもので、紛争の過程や、その規模、原因など、個別の状況に応じて組み合わせることでよりよい道筋を探ります。 ① 真実委員会などによる真相究明 ② 刑事裁判による責任の所在解明と処罰 ③ 警察や軍隊、憲法など国の仕組みを より民主的なものへと改革 ④ 補償・賠償(金銭的補償に限らず、博物館や石碑のような過去を忘れないためのシンボル設立も含まれる
阿部川:花形授業である『イノベーションプロジェクト』に加え、課外では、起業の仕方とベンチャーマインドを、セッション、実践、メンタリングを通じて学べる『アクセラレーションプログラム』がある。また資金面でのサポートでは、iU生のためのベンチャーキャピタルi株式会社と、iU生を含むZ世代のスタートアップ起業家のための合同会社iU Z investmentの2社がある。上記3つがすべて揃っているのは、国内の大学では唯一ではないか。
※ 1 2003年:Nature immunology/Impaired thymic development in mouse embryos deficient in apoptotic DNA degradation. 2006年:Nature/Chronic polyarthritis caused by mammalian DNA that escapes from degradation in macrophages 2011年:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America/Cytokine-dependent but acquired immunity-independent arthritis caused by DNA escaped from degradation. 2023年:Developmental cell/Apoptotic extracellular vesicle formation via local phosphatidylserine exposure drives efficient cell extrusion. ※2 細胞同士の相互作用、また俯瞰的な観点から細胞理解を深めようという学問。2002年、アメリカの生物学者リー・シルバーらが、雑誌「Nature」に「細胞社会学:新しい生物学のフロンティア」と題する論文を発表、その後、急速に発展した。2008年には、国際細胞社会学会も設立された。
《実社会において、専門知識に基づき、自ら社会課題を発見し、自分の頭で考え、信念を持って行動できる「プロジェクト・マネジメントができる研究開発系人材」と、「地域においてゼロから1を創造できる社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)人材」の育成を目的に、2009年に開設された文理融合(工学、バイオ、人文・社会)の大学院。教員は様々な学部から集まる。教育研究ユニットには、『工学』『バイオ』『社会』の3つに加えて、学際研究を担う文理融合型の『地域新創造ユニット』がある。専門教育を担当するR&D(Research and development)教員に加え、プロジェクト・マネジメント教育を担当するPM(Project Management)教員からも同時に指導を受けられる「サンドイッチ方式教育」と、特に地域の企業等との共同研究におけるプロジェクト・マネジメントについて学ぶOPT(On the Project Training)教育に特徴がある。また、博士前期課程には本格的な「インターンシップ研修」が必修科目として開講され、社会連携を実現する場としてコアラボも設けられている【写真】。2020年度からは、地域創生イノベーター(RRI)養成のための新たな教育コース「地域創生イノベータ―養成プログラム」が導入され、修了者は資格認定される。同年にはまた、博士前期課程地域イノベーション学専攻の正規課程が「職業実践力育成プログラム」(BP)として文部科学省に採択された。社会人にも門戸が開かれていて、2021年には特定教育訓練給付制度の受けられる厚生労働大臣指定の専門実践教育訓練講座として指定を受ける。