大学ジャーナル UNIVERSITY JOURNAL

トップ › 探究・学問・進路のヒント › 世界の食糧危機を救う 細胞培養肉/地上に太陽を

HINT

世界の食糧危機を救う 細胞培養肉/地上に太陽を

文:大学ジャーナル編集部

初出: 大学ジャーナル Vol.163(2025 年 9 月)

「人生を賭けて何をするか?」という問いに「アニメサイエンス」と答え、シリコンバレーを沸かせた日本人がいる。インテグリカルチャーCEO の羽生さんだ。彼はSF やゲームで夢見た世界を現実にする「細胞農業」で、地球規模の食糧危機に挑む。

動物細胞を培養して作る「細胞性食品」は、食糧問題や環境汚染を解決する切り札。始まりは、高校生も参加しニコニコ動画で発表するオープンな市民科学プロジェクト。独自の「共培養」技術で、当初1 食3000 万円以上した培養肉の劇的なコストダウンを実現している。

羽生さんの活動は、シンギュラリティ―大学への参加を契機に国や大学を巻き込む産官学連携へと大きく発展。2024 年に原材料や機材を企業や大学に発売し、国での食品安全ルール作りも着実に進んでいる。また開発技術は化粧品にも応用され、新たな産業が生まれつつある。

後輩へのメッセージ

『こうあるべき』という常識に縛られず、あらゆる前提を外して考えてほしい。大人たちの助言を問い直す視点も必要だ。私たちとは異なる本能(OS)を持つAIと共生する未来を見据え、常識を疑う探究心こそがイノベーションの源泉となるだろう。

Profile
1985年生まれ。栄光学園中学校から父親の転勤でパキスタンへ。インターナショナルスクールオブイスラマバードからオックスフォード大学へ。2006年同化学科卒、2010年同博士課程修了。博士(化学)。

大学ジャーナル Vol.163 掲載

RELATED

このカテゴリの新着