空はなぜ青いのか。夕焼けはどうして赤いのか。そんなことを思ったことはありませんか。私は小学生の頃に「空は絵の具を塗っているから青い」という友だちの意見に賛成できず、かといって理由もわからず「なんでだろう」と色々と考えを巡らせた思い出があります。
可視光線から目に見えない赤外線や紫外線まで、波長の違いによって色々と性格も異なる光の世界です。今回は可視光線の色と今流行りの発光ダイオード (LED)についてお話したいと思います。

坂東 昌子先生
~Profile~
愛知大学名誉教授 NPO法人 あいんしゅたいん理事長
1965年同大学大学院理学研究科博士課程修了(博士号取得)。京都大学理学部助手、講師を経て、87年より愛知大学教養学部教授。専門は素粒子論、非線形物理。京都大学に保育所設立を実現させるなど、女性研究者の支援でも活躍。京都大学の湯川秀樹研究室で素粒子論を専攻。ノーベル賞を受賞した小林・益川博士とは助手時代は同じ研究室。2007年日本物理学会長・同キャリア支援センター初代センター長 を経て、2009年3月若手研究者支援のためのNPO法人「知的人材ネットワークあいんしゅたいん」を設立。現在に至る。
「4次元を越える物理と素粒子」「理系の女の生き方ガイド」など著書多数。大阪府立大手前高等学校出身。
光の三原色と色の三原色
人間の目が色を感じるのは、波長の異なる光が視神経細胞を刺激するからです。視神経は三種類あって、それぞれが波長の違う三種類の光を感じます。これが「光の三原色」です。RBGという言い方を聞いたことがあるかもしれませんが、レッド、ブルー、グリーンの三色です。赤青黄じゃないの、と声が聞こえてきそうですが、絵の具を使う時の「色の三原色」とは異なります。
光の三原色は、それぞれ波長が700nm、546.1nm、435.8nm※の光に対応します。赤と緑が同時に目に入ってくると黄色に、緑と青でシアンに見えますし、すべての色が三原色の強さを加減して混ぜ合わせることで作れます。RGBを同じ強さで混ぜた色は真っ白です。逆に白からRGを引いたら青になります。
では、突然ですが、ここで問題です。植物の葉は緑色をしていますが、なぜなのかわかりますか?
植物の葉が緑色を好むからではありません。じっくり考えないと間違えそうですが、実は、葉には緑色光が必要ないのです。いらないのではね返しますから、それが私たちの目の中に光として入ってくるのです。
太陽光をプリズムで分けてみると、虹の色に見られるように分解されます。太陽の光はRBGすべてが揃っているので、白色なのです。RBGの光から、葉は必要なRBを吸収して、必要のない緑色光だけをはね返しています。だから、葉は緑色に見えるのです。もし赤と青の光だけを葉っぱに当てたら、両方を吸収するので、葉は黒っぽく見えるはずです。絵の具はそのものがはね返す色を表しますが、光の色は、直接目に入った光の色が見えていると言い換えることができるのですね。すべての色をはね返して白色になるというわけです。
※1nm(ナノメートル) = 0.000000001m = 10^-9m
発光ダイオード(LED)の立役者は日本人
私たちの生活にも光は欠かせないものですが、光を発生させるには二通りのやり方があります。昔の白熱電球は、電流でフィラメントが熱くなり発光します。火が燃えて明るく光るのと同じです。しかし、もう一つの、最近出てきた新しい光、発光ダイオード(LED)の光の出し方は違います。
LEDの仕組みは難しいものではありません。プラスの電気がつまったp型半導体と、マイナスの電気がつまったn型半導体という性質の異なる2つの半導体がくっついていてできているのがLEDチップで、そこに電流を流すとプラスとマイナスの電気がばちんとぶつかります。プラスとマイナスがぶつかることで出てくるエネルギーはほとんどが熱にならずに、光に返信するのです。光の強さや色は、それぞれの半導体の材料を何にするかによって変わります。
これまでの白熱電球などは、エネルギーが光だけでなく熱としても放出されていました。LEDの場合は電流を直接光に変えるので、これまでよりも10倍程効率がいい、つまりエコなのです。
ただこのLED。1960年代に開発されたものの、赤から黄緑色くらいまでの波長の色しか作ることができず、全部の色が作り出せない状況が長く続きました。そんな中、1993年に、最も波長が短くて難しい青色発光ダイオードを、当時徳島の中小企業の研究者だった中村修二先生(現カリフォルニア大学 サンタバーバラ校教授) が開発したのです。こうして三原色がそろったことで白色を含めたさまざまな色を作り出すことが可能になり、今日のカラーテレビなど、さまざまなものへの応用につながりました。
ちなみに、この世界的な大発明に対して、中村先生が会社からもらったご褒美(報奨金)はたった2万円だったそうです。しばらく前にニュースになったので知っている人もいると思いますが、その後中村先生は会社を相手に訴訟を起こしました。会社の仕事で行った職務発明とはいえ、発明に見合ったものを報いてほしいと言ったのです。会社の利益は800億円ともいわれ、第一審では 400億円を支払うようにと判決が出ましたが、結局は20億円で和解されたそうです。科学者は好奇心にかられて研究開発をするのが大好きです。でも少しは「ありがたいな」と評価してもいいのではないでしょうか。
RGBは身近なところでは、パソコンで使われています。プログラミングなどが得意な人はよく知っていると思いますが、コンピュータで色を指定する時には、RGBを16進数の強さで配合したカラーコードで表します。16進数は1から始まって2ケタになる10は「A」、11が「B」とアルファベットを使って、16が「F」になります。RGBの順番でそれぞれを2ケタで表すので「FF0000」は赤色になります。「000000」は黒、「FFFFFF」は白です。