初出: 大学ジャーナル Vol.90(2010 年 10 月)
## 21世紀の大学と輩出すべき人材像
グローバル化が急速に進む中、日本の産業・経済を支える空港や港湾のハブ化がよく問題にされます。ハブとは、国内各地とのネットワークの要であると同時に、24時間世界に開かれたネットワークの要衝、拠点を意味します。ハブがなければ世界との接点が弱まり、その潮流に取り残されかねません。近年は、一極集中という言葉があまり肯定的には捉えられていませんが、グローバル化した競争社会の中では特定の都市や設備へのある程度の集中、集積は避けられません。逆にそうしなければ、世界に伍していくことはできない、ハブにはまさにそのような機能が託されていると私は考えています。
翻って大学とは、教育、研究の拠点であり、近年は社会貢献を果たす機関としての役割にも期待が高まっています。本学は前身である関西法律学校以来、《正義を権力より護れ》という心意気を抱いた学生を社会に輩出してきました。また第11代学長の山岡順太郎が《学の実化》なるスローガンをうち立てましたが、これは「学理と実際との調和」「国際的精神の涵養」「外国語学習の必要」「体育の奨励」からなる教育理念で、後に学是として定着しました。そして特にこの20年間においては、国際化に対応しながら、大学で学んだ成果を社会に生かせる人材の育成に努めてきました。国際化社会を迎えた今日、正義とはもはや国内だけで通用するものを意味しません。それを守るためには国際舞台へ飛び出していくことも必要でしょう。また社会とはイコール国際社会であり、国際的精神の涵養と外国語の習得も避けては通れません。大学とはまさに、国際正義のために学んだことを国際社会の中で生かせる人材を輩出する拠点なのです。
このような視点に立つ時、これからの総合大学は、教育、研究を中心に様々な機能を一層充実させ、学生や社会のあらゆるニーズに対応できる知の一大集積地を目指さなければなりません。国際化のためには多くの留学生を受け入れるとともに、海外へ開かれた教育プログラムを用意することも必要です。海外の大学、企業、国家機関とも連携し、強固なネットワークを結ぶことも必要でしょう。《人や情報が大学を経由して行き交い、大学が知識や文化のセンターになる》、それがまさに大学のハブ化なのです。その際、規模と多様性の面から、一大学、一地域で解決できないような課題が生まれてくれば、京都や神戸も含めて関西全体を一つのハブと考え、そこへ向けて各々の大学の持つ資源を結集することも必要だと思います。



