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どうして数学を学ぶの? 第48回 確率のパラドックス —モンティー・ホール問題

文:大学ジャーナル編集部

初出: 大学ジャーナル Vol.120(2016 年 6 月)

みなさんは、モンティー・ホール問題をご存知でしょうか。アメリカで放映されていた“Let’s make a deal”というテレビ番組のゲームがきっかけとなって大論争となった問題です。この番組の司会者の名前をとってモンティー・ホール問題と呼ばれています。モンティ・ホール問題とは次のような問題です。3つのドアがあり、その中の1つが当たりで、車をもらえます。残り2つのドアははずれで、ヤギが入っています。普通に考えれば、1/3 の確率で、車がもらえますが、モンティー・ホール問題では、挑戦者が1つのドアを選んだあと、挑戦者に司会者のモンティーが必ずはずれのドアを開けてみせます。もちろん、最初に挑戦者が選んだドアとは別のドアです。はずれのドアが開けられているので、残り2つのドアは、当たりとはずれ1つずつです。このとき、司会者は挑戦者に、1度だけ選んだドアを変える権利を与えます。最初に選んだドアのままでも構いませんし、残っているもう1つのドアに変えても構いません。問題は、このときに、挑戦者は、ドアを、最初に選んだままにした方が良いのか、変えた方が良いのかというものです。一見、変えても変えなくても、どちらも1/2 のように思えます。しかし、この問題が、“Parade”という雑誌でマリリン・ボス・サヴァントによって取り上げられ大論争へと発展しました。マリリンは、1/2 ではないと主張したのです。しかし、多くの読者からの反論が続々と寄せられました。これには、数学者からの反論も含まれていました。みなさんも、どちらが正しいのか、ちょっと考えてみてください。実験やコンピュータ・シミュレーションをしてみると、だんだん、1/2 ではないことに気付き始めます。みなさんも、イメージが沸かなければ、まず、実際に実験をしてみるとよいと思います。私たちが学生とやった実験はこうです。紙コップを3つ用意します。その中の1つだけ、側面にあたりと書いておきます。2人組になり、1人(A)は、ランダムに紙コップを入れ替えます。このとき、あたりがもう1人(B)に見えないようにします。Bは、3つのうち、どれか1つを選びます。Aは、あたりでない紙コップを指定します。これ以降は、Bが最初に選んだ紙コップから選択を変える場合と、変えない場合のそれぞれで、同じ試行を何度も繰り返していくとよいでしょう。そして、当たったか、はずれたかを記録し、選択を変える場合と、変えない場合での当たりやすさを比較してみるとよいと思います。その結果を踏まえて、どうしてそうなるかをぜひ考えてみてください。3 つのドアを1、2、3 とし、ドア1が当たり、ドア2、ドア3がはずれとします。a)のケースとして、挑戦者が最初の選択でドア1を選んだ場合(この確率は1/3 )、モンティーがドア2、ドア3のどちらかを開けることになります。ここでもし、挑戦者がドアを変えると必ずはずれになります。したがって、挑戦者が最初に当たりのドアを選んでいる場合には、ドアを変えて当たる確率は0です。ドアを変えないで当たる確率は1です。では、b)のケースとして、ドア2(はずれ)を選んだ場合(この確率は 1/3 )はどうでしょう。モンティは必ずはずれのドアを開けますので、この場合はドア3を開けることになります。このときは、挑戦者がもし選択を変えると、当たりのドア1を開けることになります。これは、ドア3(はずれ)を選んだ場合も同様です。一方、挑戦者がもし選択を変えない場合には、ドア2(はずれ)を選んだ場合は必ずはずれで、ドア3(はずれ)を選んだ場合も同様です。さて、全体として考えてみたらどうでしょう。選択したドアを変えるとした場合、最終的に当たりのドアを当てる確率は、a) のケースでは、 1/3 × 0、b)、c) のケースでは、 1/3 ですから、0 + 1/3 + 1/3 = 2/3 です。一方、選択したドアを変えないとした場合、最終的に当たりのドアを当てる確率は、a)のケースでは、 1/3 × 1、b)、c)のケースでは0 ですから、 1/3 + 0 + 0 = 1/3 です。よって、選択したドアを変える方が2倍当たりやすいということになります。

大学ジャーナル Vol.120 掲載

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